抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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分子プロセスの量子コヒーレント制御は,光物理学と光化学の分野において非常に重要である。超高速レーザーパルス技術の進歩によって,時間スケールで電子のダイナミックスを制御できるようになってきた。これまでに,原子に数サイクルの強い赤外線(IR)レーザーを照射した場合における高調波発生から,67アト秒の短いパルスが得られている。このような時間スケールでは,物質中における電子の動きをアト秒でイメージングすることによって,純粋な電子量子効果の監視が可能になる。超高速レーザーパルスによる電子の干渉効果の研究は,原子,分子および固体の光イオン化において大きな関心を集めている。光電子信号の干渉パターンを測定して,原子および分子軌道を画像化することができる。遠赤外光による長波長トンネリング光イオン化では,異なる時間に放出された電子が相互に干渉し合うことがある。同じサイクル内で発生する異なる電子軌道間の干渉によって,時間分解光電子ホログラフィ技術による光電子運動量スペクトルにおいて様々な干渉構造を生じる。本稿では,アト秒紫外線(UV)レーザーパルスによるH<span style=text-decoration:overline><sub>2</sub><sup>+</sup></span>の光イオン化における電子波パケットの干渉に関する研究結果を報告する。ここでは,2つのアト秒のUVレーザーパルスによるコヒーレントな電子波パケットの干渉効果を示す。整列した分子イオンH<span style=text-decoration:overline><sup>+</sup><sub>2</sub></span>に関するシミュレーションから,光電子の運動量分布は,パルス周波数,キャリアエンベロープ位相(CEP)および時間遅延の関数である複数のピークを有する干渉パターンを示すことが分かった。本研究では,これらの干渉効果をアト秒摂動イオン化モデルに基づいて説明する。2つのUVパルス光が同じ周波数(ω<sub>1</sub>=ω<sub>2</sub>)の場合の光イオン化では,正負の対称な運動量分布が得られ,2ω<sub>1</sub>=ω<sub>2</sub>の場合には,光イオン化干渉分布は非対称であることが分かった。また,非対称性はレーザーパラメータに敏感であることも分かった。