抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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水溶性プロゲステロン(Pw)は,水溶性のHydroxyproply-β-cyclodextrin(HP-β-CyD)にプロゲステロン(P4)を包接させた化合物であり,水に溶解させるとP4を徐放する。そこで,ウシ体外受精卵(体外胚)発生培地にPwを添加して,常法の体外胚発生培養条件下でウシ体外胚発生初期におけるP4の影響を調査した。試験1:体外胚発生培地にP4を1.0μg/ml添加した区(1.0P4区)と,1.0μg/ml相当量のP4を含むPwを添加した区(1.0Pw区)の培地中のP4濃度を測定した。試験2:0.1,0.5,1.0μg/ml相当量のP4を含むPwを胚発生培地に其々添加し,体外胚への影響を比較した。試験3:0.5Pw区と,PwのP4包接体であるHP-β-CyDを添加したHP-β-CyD区で,体外胚への影響を比較した。試験1の結果から,ミネラルオイル被覆下でのPw添加は,培地中のP4濃度が大きな変動なく維持され,HP-β-CyDの徐放作用によりP4放出が継続したと考えられた。試験2の結果から,体外胚発生培地へのPw添加により拡張胚盤胞期胚の総細胞数に差が認められなかったが,胚発生率の向上傾向が認められた。試験3の結果から,P4とHP-β-CyDを含むPw区とHP-β-CyDのみを含むHP-β-CyD区の両区で拡張胚盤胞期胚の総細胞数が増加した。以上のことから,Pwを用いることで培地中のP4濃度を一定量に保つことはできるものの,本培養条件下でのP4添加は,胚発生率や胚の品質に影響しない可能性が示唆された。