抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
オゾンとリグニンとの反応速度はオゾンと炭水化物の反応速度の約1,000倍であり,脱リグニンの選択性に優れている。オゾン漂白段単独で高白色度までパルプを漂白しようとすると,大量のオゾンが必要となり,オゾン消費率も著しく低下するので,多段漂白にしてリグニンの反応中間体を除くことが肝要である。漂白シーケンスの初段に組み入れるとリグニンが炭水化物の保護剤になって,オゾンを過剰添加しない限りパルプ強度は低下しない。パルプのリグニン含有量が高いほど,オゾンの選択性が向上し,オゾン漂白効率の指標であるオゾン添加1kgあたりのカッパー価減少値(ΔKN/kgO
3)が増加する。リグニンが少ない中段以降に組み入れると,オゾンが炭水化物と反応してパルプ強度を損なうリスクが高くなる。中濃度オゾンを初段に用いる場合,オゾン漂白と二酸化塩素漂白の間に洗浄機を設置しないZDを採用する工場が多い。両段ともpH3-5で操業し,低コストで最大の脱リグニン効果を発揮する。ZDは1993年にUPM社Pietarsaari工場(フィンランド)のTCFに初めて設置され,現在はTCFとECFの9工場で運転している。ECFにZDを採用しているのは,International Paper社Luiz Antonio工場(ブラジル),Domtar社Espanol工場(カナダ),日本製紙勇払工場,八代工場,丸住製紙大江工場,日本製紙Maryvale工場(オーストラリア)である。日本製紙勇払工場のオゾン添加率は4.5-5.0kg/AD.pulp.tonである。ΔKN/kgO
3は0.9-1.0であり,ほぼラボ実験と同じ結果となった。ライトECF漂白ZD-Eop-Dの晒し薬品費は,改造前の塩素系漂白C/D-Eop-Dと差がなく,二酸化塩素ECF漂白D-Eop-Dよりも30%低く,パルプ強度は塩素系漂白パルプと同等である。上質紙の強度は従来と差がなく,色戻りもなくユーザーからの評判は良好である。晒工程のAOX(吸着性有機塩素化合物)発生量は改造前と比較して約10分の1に,クロロホルム発生量は約100分の1になり,大幅に削減されている。丸住製紙大江工場は広葉樹チップと針葉樹チップのスイッチング操業を行っている。ZD
0-Eop-DnD
1を導入して,オゾンを広葉樹パルプに6kg/AD.pulp.ton,針葉樹パルプに3kg/AD.pulp.ton添加し,二酸化塩素添加量を減らして漂白費を15%削減した。白色度はオゾン導入後も操業開始以来の目標値を維持し,LBKPは87%,NBKPは86%である。(著者抄録)