抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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低熱膨張Ni基超合金LTES700Rを用いて先進超々臨界圧火力発電(Advanced-Ultra Super Critical:A-USC)用タービンロータを製造し,引張・衝撃特性,および超音波探傷試験における超音波透過性を評価した。真空誘導溶解とエレクトロスラグ再溶解のダブルメルト法によりφ1050mm,長さ2800mm,重量約20トンのインゴットを溶製し,これを14000トン自由鍛造プレスで鍛錬して約10.5トンのLTES700Rロータ素材を製造した。この素材に溶体化熱処理を施し,大径部(φ1124mm),小径部(φ778mm)の2部材に分割したのち共材溶接により一体化し,さらに軸部に12Cr系耐熱鋼MTR10Aを異材溶接で接合することによりA-USC回転試験用タービンロータの製造に成功した。時効熱処理,および溶接部の溶接後熱処理を施したのち,ロータのBottom,Top側,および表層から軸心の各部位から採取した試験片で室温と700°Cでの引張試験を実施した。結果としては,いずれの位置においても優れた強度と伸び,絞りが得られ,良好な引張特性を有していることを確認した。同様に衝撃試験においても優れた室温靭性を備えていることを確認した。また,表層から軸心の結晶粒度は3から4程度であった。超音波探傷試験における最小検出可能欠陥サイズは大径部,小径部ともにφ1.6mm以下であり,高い超音波透過性を有することを確認した。700°Cにおけるクリープ試験においては,ロータ使用上の目安となる10万時間破断強度100MPa以上を確保できる見込みを得た。今回の特性評価により,引張・衝撃特性および超音波の透過性に優れたLTES700R製A-USC用タービンロータの製造が可能であることを実証した。(著者抄録)