抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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(バックグラウンド)インディカ栽培品種の登熟率(GFR)はジャポニカ米のそれより早い。GFRは胚乳中の澱粉蓄積率(SAR)により主に決定されるにもかかわらず,登熟期間中のSARの遺伝学的基礎はイネにおいては十分に研究されていない。典型的インディカとジャポニカ栽培品種間の異なるSARに影響する因子を明らかにするために,本稿では,シンクポテンシャル,特に胚乳中の澱粉合成に焦点をあてた。(結果)インディカ米栽培品種IR36中のSARはジャポニカ米T65より有意に高かった。アミロースとアミロペクチン合成のための酵素はIR36で高活性であり,アミロペクチン合成はT65の遺伝的バックグラウンドにおけるアミロース合成能力の上昇がIR36のSARと同レベルをもたらさなかったためにSARを加速させるために重要である。IR36においては,胚乳中のほとんどの澱粉合成遺伝子類(SSG類)がT65より登熟中に高発現した。円錐花序栽培実験において,イネ胚乳中のSSG類はスクロース依存性または非依存性のどちらかにより調節された。SSIとBEIIaを除く全SSG類は両栽培品種中のスクロースに応答し,GBSSI,AGPS2bおよびPULはIR36中のスクロースにより応答した。興味深いことに,IR36中のGBSSI遺伝子(Wx a)はスクロースにより高活性化されたが,T65中のGBSSI遺伝子(Wx b)は非感受性であった。スクロース非依存性調節では,IR36中のAGPL2,SSIIIa,BEI,BEIIbおよびISA1遺伝子がT65中のそれより1.5から2倍アップレギュレーションされた。さらに,SSIとBEIIa量は未知シグナルにより調節され,この調節経路はT65よりIR36においてより活性化された。(結論)本稿では,少なくとも3調節経路がイネ胚乳中のSSG発現に関与し,それらの全経路がIR36においてより活性であることを示した。IR36の高SARをもたらす因子のひとつがシンクポテンシャル中で増加すると推定した。(翻訳著者抄録)