抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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効果的で経済的な窒素除去処理として,嫌気的アンモニア酸化(ANAMMOX)は適切なpHで良好に操作することができる。しかしながら,pHショックは異なる種類の廃水下で起こり,ANAMMOX処理は大きな影響を受ける。本研究では,pHショックに伴うANAMMOX顆粒スラッジの作用と動力学の調査を目的とした。流入水のpHが7.5よりも低いとき,流出するNH<sub>4</sub><sup>+</sup>-NとNO<sub>2</sub><sup>-</sup>-NはpHの低下に伴って増加した。pH6.0のときは流出するNO<sub>2</sub><sup>-</sup>-Nは100mg/Lに近づき,ΔNO<sub>2</sub><sup>-</sup>-N:NH<sub>4</sub><sup>+</sup>-Nと,NO<sub>3</sub><sup>-</sup>-N:NH<sub>4</sub><sup>+</sup>-Nはそれぞれ2.2と1.3であった。両方とも理論値から大きくはずれていた。流入水のpHが7.5よりも大きいとき,流出するNH<sub>4</sub><sup>+</sup>-NとNO<sub>2</sub><sup>-</sup>-Nは廃水処理において嫌気的アンモニア酸化(ANAMMOX)は効果的で経済的な窒素除去処理であり,pHが適正であれば良好に操作することができる。しかし,異なる種類の廃水下ではpHの急激な変化が起こることがあり,その際ANAMMOX処理は大きな影響を受ける。本研究の目的は,pHの急激な変化によるANAMMOX顆粒スラッジの動力学的調査である。流入水のpHが7.5よりも低いとき,流出するNH4+-NとNO2--NはpHの低下に伴って増加し,pH6.0では流出するNO2--Nは100mg/Lに近づき,ΔNO2--N:ΔNH4+-Nが2.2,ΔNO3--N:ΔNH4+-Nが1.3であり,いずれも理論値とは大きくことなっていた。pH9.0では,アンモニア除去速度(ARR)は0.011±0.004kg/(m3・d),亜硝酸除去速度(NRR)は0.035±0.004kg/(m3・d)であることが示された。pH6.0よりもpH9.0からの回復時間が長いことは,アルカリ環境が嫌気的アンモニア酸化細菌(AAOB)をより大きく抑制することを示した。ベル型(A)モデルとRatkowskyモデルは,ANAMMOX活性(R2>0.95)におけるpHショックからの影響をシミュレートに適しており,いずれもpHショックに伴うANAMMOX活性をよく示していた。異なるpHにおける窒素除去作用に起因して,強酸性(pH<6.5)や強アルカリ(pH>8.5)はANAMMOX処理を抑制することが示された。またANAMMOXはアルカリ廃水において影響を受けやすいことが示された。ANAMMOX顆粒では極端な酸性条件(低pH)よりも,極端なアルカリ条件(高pH)においてより強い影響を受けることが明らかとなった。また,ANAMMOX反応はpH5.68から9.26の範囲で起こることが示された。
