抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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背景:高度に構造化された社会では,グループ全体の目標を達成するために,各個体は柔軟で協調的に行動する。しかし社会的な種でも,環境は個の行動に長期間続く影響を与え,様々な経験は個体に影響を与えて強制的な行動フレキシビリティを強いる。このような行動に対する強制は社会グループレベルでの行動最適化に影響し得るが,どのように社会的経験が時間とともに蓄積するか,またこの効果のメカニズムについての研究は少ない。そこで本研究では,どのように順序的社会経験が個体とグループレベルの攻撃性に影響するのか,また脳の遺伝子発現に影響するのかについて,高度に社会的なミツバチ(Apis mellifera)を用いて調べた。そのために,コロニー全体の慢性的捕食者攪乱処置と実験室ベースの社会構成の操作とを組み合わせた。結果:擾乱のない群に比べて,慢性的擾乱下にある個体は攻撃性が低く,実験室ベースの社会的コンテクストでの行動柔軟性が増加していた。擾乱を受けたハチの攻撃性は,攻撃の増加回数に伴って減少した。しかしグループレベルの攻撃性はグループを構成する個体の行動傾向に関わりなく似ており,これは行動傾向の組み合わせを示唆しており,攻撃正行動に影響する社会的ネガティブフィードバックの存在を示唆していた。脳の遺伝子発現解析によって,攻撃性関連バイオマーカーは個体の擾乱履歴を反映するが,それに引き続く社会グループの経験や行動結果は反映しなかった。結論:集合的な行動表現形を有する高度に社会的な動物では,社会的コンテクストは個体の行動傾向がマスクされた。さらに,遺伝子発現パターンは行動傾向を反映するが,行動結果はリアルタイムに起こる社会的キューでさらに変更された。(翻訳著者抄録)