抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本論文において著者は,伊豆諸島の準固有種であるオオシマザクラ(Prunus lannesiana)に関し,遺伝的多様性および地理的遺伝構造について,現在までの研究の内容と共に解説した。オオシマザクラの主要な分布領域において,サンプリングを実施し,母性遺伝に関しては葉緑体,両性遺伝に関しては核を用いてDNA多形を解析した。その結果,葉緑体DNAについては塩基置換,挿入,欠損データから7つのハプロタイプに分類された。また,核DNAは増幅制限酵素断片長多型(AFLP)法および単純反復配列(SSR)法を実施した。その結果,隔離された環境下においても集団内の遺伝的多様性が高いが,集団間の遺伝的分化は低いことが示唆された。DNA多形データと伊豆諸島の各島への地理的距離の解析から,地理的に近い場合でも遺伝的に異なる結果が示され,地質の違いによる島の形成時期の差異が,オオシマザクラの移入,生育の差異に関連する可能性が示された。