抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2010年代に入ってから,北極海を通航する船舶は全体として増加傾向にある。最近の特徴として,サイズが大型化すると同時に,船種も多様化していることがある。北極海航路(NSR)では,現在のところ夏季であっても氷が全く消失することはほぼなく,通航時には依然として氷との干渉を想定しなくてはならない。氷中航行性能には様々な観点があるが,本稿では船速と燃料消費について考える。本稿では,氷中航行性能の評価手法について概覧するとともに,氷海域運航のシミュレーション例を通じてそれに用いられる技術的トピックスについて述べる。また,応用の一例として,氷海域における最適航路探索を実現するための要件について展望する。本稿では,氷中での船速低下及び燃料消費量を合理的に推定する氷中航行性能の評価手法について概要を紹介した。基礎となる水中抵抗の推定には,氷況に応じて異なるモデルを適切に用いる必要がある。また,氷中では低速過負荷状態での航行が想定されるため,性能評価においては主機作動点のシフトを考慮する必要がある。夏季北極海のシミュレーション例によれば,氷況の厳しさが航行性能に影響するため,航路の選択によって経済性が大きく変化する。また,航路全体としては通常海域を航行する割合が大きいため,実海域性能の適切な評価も不可欠である。シミュレーションを組み合わせた最適航路探索は,船舶の氷海域運航にとって有用なシステムである。