抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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『舎密開宗』は,ヘンリーが著したオランダ語の翻訳本をベースに,宇田川榕菴が他の化学書によって内容を補った書物であるが,刊行されたのはその66%ほどで,34%は刊行に至らなかった。その未刊部分に相当する原稿について,再調査を行った。まず未刊部分に相当する稿本について解説し,その特徴を示した。そして宇田川榕菴が参照した化学書のうち,スマレンブルグの化学書をベースとした「元素和合篇」という翻訳書が存在することがわかった。そこで「元素和合篇」の執筆時期,その中での原子量についての取り扱い,電気化学的二元論についての取り扱いについて解説した。また同じスマレンブルグの化学書をベースとした稿本として,「開物淵源稿」の概要,その記述スタイルの特徴を炭素の記述を例に述べた。また「舎密開宗」の記述への寄与について光素を例に,またフロギストンへの言及については硫黄の記述を例に示した。これらの研究を基にして,『舎密開宗』のベースとなった化学書として,スマレンブルグの化学書,ヘンリーの化学書であると結論づけた理由について示した。