抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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文字や絵などの視覚的な情報(色調変化)と電気的な情報(導電率変化)を同時に制御可能な全固体エレクトロクロミック薄膜トランジスタを開発した。具体的には,エレクトロクロミック材料として知られるアモルファス(a-)WO
3を活性層として選択し,我々独自に開発した含水ナノ多孔質ガラス(CAN,Calcium Aluminate with Nanopore)をゲート絶縁体とする薄膜トランジスタ構造をガラス基板上に作製した。なお全透明なデバイス構造を実現するために,各種電極には透明導電体の酸化インジウムスズ(ITO)を用い,さらに実用性を示すために,全ての薄膜は室温プロセスで作製した。室温・大気中で,作製したデバイスにゲート電圧を印加することでCAN薄膜中の水を電気分解した。正のゲート電圧を印可することでa-WO
3層がプロトン化し,デバイス全体が濃青に着色すると同時に,a-WO
3層のシート抵抗は約6桁減少した。逆に,負のゲート電圧を印加することで消色し,a-WO
3層は絶縁体に戻った。これらの切替は可逆的であり,a-WO
3層の色調とシート抵抗の変化はファラデーの電気分解の法則に従い,流す電気量によって制御できることが分かった。本デバイスは,含水ナノ多孔質ガラスを用いた全固体の薄膜構造であり,漏液の心配も無く,また全て室温プロセスで作製可能であることから,低コストで実用化可能だと考える。現時点では,切替に要する時間は約10秒とやや遅いものの,視覚的な情報と電気的な情報を同時に制御可能な,新しい情報表示・記憶装置に繋がると期待する。(著者抄録)