抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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私たちが以前に開発したAPEX(Aqueous Photochemistry of Environmentally-occurring xenobiotics)ソフトウェアを用いて,水田でのAs(III)の光化学をモデル化し,生物学的プロセスと比較した。このモデルには,日射量に及ぼすイネのキャノピーの遮蔽効果,月間の変動,水のpH,水田で発生する発色性有機物(CDOM)の光化学的パラメータなどの主要な水田の変数が含まれている。As(III)からAs(V)への光酸化半減期(t<sub>1/2</sub>)は,5月では約20~30日であるが,対照的に,As(III)の光化学的酸化は,日照の照度が高いにもかかわらず,植物の成長によるイネのキャノピーの遮蔽により,6月と7月にはるかに遅くなるであろう。pH<8で,As(III)の光酸化は,主に,照射されたCDOM(ここでは励起三重項状態である<sup>3</sup>CDOM<sup>*</sup>によって表され,フェノキシなどのよく知られていない種ラジカルとのより重要な反応を無視した),およびより少ない程度では,ヒドロキシルラジカル(HO・)により生成する不安定種との反応が主なものと考えられる。しかし,水田水の<sup>3</sup>CDOM<sup>*</sup>がCO<sub>3</sub><sup>2-</sup>の酸化に対して十分に反応性であれば,炭酸ラジカル(CO<sub>3</sub>・<sup>-</sup>)はpH>8.5で重要な光酸化剤である可能性がある。特に,水田水の<sup>3</sup>CDOM<sup>*</sup>が二次反応速度定数10<sup>6</sup>/M<sup>-1</sup>・s<sup>-1</sup>以上で炭酸アニオンを酸化すると,As(III)の光酸化はpH>8.5では極めて急速である。このようなpH条件は,溶解したCO<sub>2</sub>を消費する高い光合成活性によって生成することができる。(翻訳著者抄録)