抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本特集では,図書館が電子書籍の導入を検討するのに有用な情報を提供する。本章では,日本の図書館における電子書籍の利用と契約の形態,導入状況を概観し,課題について考察する。1)電子書籍の利用と契約の形態:電子書籍の利用は,インターネット系が大勢を占め,ダウンロード型とストリーミング型に分けられ,後者は端末にデータが残らない。形式は,国際電子出版フォーラムの標準規格EPUBを中心に統一が進んでいる。購入方式は,買い切り制と定額制があり,後者は,決められた範囲で多数の書籍にアクセスできる。アクセスは,IPアドレスや利用者IDにより限定される。図書館の選書方法として,PDA(Patron-Driven Acquisition)が注目されている。これは,購入前から全文が立ち読みでき,その回数が一定数を超えると購入するものである。国立国会図書館では,所蔵資料のデジタル化を進めており,著作権の問題がないものは公開し,それ以外で入手困難なものなどを図書館に配信(図書館向けデジタル化資料送信サービス)している。,2)導入状況:電子書籍貸出サービスは,米国では9割超が実施しているのに比べ,日本の公立図書館では4%にすぎない。国立国会図書館の図書館向けデジタル化資料送信サービスは急伸している。一方,大学図書館では,電子ジャーナルによる学術論文の提供が当たり前になっており,学術書の電子書籍の導入も進んでいる。3)課題:公立図書館への電子書籍の導入が少ないのは,コンテンツの少なさに原因がある。大学図書館でも,日本語コンテンツは少なく,その充実が欠かせない。将来,電子書籍が主流となり,出版社等が長期保存の役割も担うようになれば,図書館の存在は不要となるかもしれない。