抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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靴ひもを結わえる,ジャムの瓶を開ける,バスケットボールでフリースローを行うなど,多くの日々の活動では,両手をうまく使いこなす必要がある。非侵襲的な経頭蓋直流電気刺激(tDCS)が,片手運動能力を改善することが繰り返し示されているが,両手運動能力に対する効果についてはほとんど知られていない。tDCSがどのように両手運動を改善するかについての知識は,両手に機能障害がある人での運動能力回復などに寄与する。そこで著者らは,高精度陽極tDCS(HD-atDCS)が両手連続的な感覚運動タスクの能力に及ぼす影響を調べた。32人のボランティア(年齢24.25歳,SD=2.75歳,女性14名)が二重盲検試験に参加し,6回の実験セッションでスポーツスタッキングを行った。スポーツスタッキングでは,特別に設計された12個のカップをできるだけ速く積み重ねて,所定のパターンで積み崩す必要がある。予備テスト,事後テスト,およびフォローアップテストを行い,2つのスポーツスタッキングの形成(3-6-3スタックと1-10-1スタック)を行った。予備テストと事後テストの間に,すべての参加者を3日間連続して脳刺激を伴うスポーツスタッキングによって訓練した。実験群(STIM-M1)は,両方の一次運動皮質(M1)上でHD-atDCSを受けたが,対照群は擬似刺激(SHAM)を受けた。三元分散分析(ANOVA)は,TIMEが有意な主効果であり,TIME×GROUPが有意な相互作用であることを明らかにした。GROUPやTIME×GROUP×FORMATIONの相互作用には大きな影響は見られなかった。さらなる二元配置ANOVAにより,両方のスポーツスタッキング形成において,TIMEの有意な主効果およびGROUPの有意でない主効果が見出された。TIME×GROUP間の有意な相互作用は,3-6-3形成の場合にのみ見られ,実験群(STIM-M1)では優れた能力の向上があった。結果に対するベースラインの影響を考慮して制御するため,事前の試験結果を共変量として扱うANCOVAによって,刺激の有意な効果が明らかになった。以上より,両者とも両側性のHD-atDCSは,両手連続的な感覚運動タスクにおいて運動性能を改善すると結論づけた。これらの結果は,両手運動能力の学習と回復に,tDCSが有益であることを示したと考えられた。(翻訳著者抄録)