抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,フランスを対象に,エネルギー政策や食品の放射性物質の汚染問題についての市民意識を調査し,その結果を検討した。調査は,フランス・ロレーヌ地域の住民に対して行った。データは,配布調査とネット調査により収集した。収集回答数は200であり,有効回答数は186通であった。第1の結果は,原発事故の政府対応に関するものである。チェルノブイリ事故の旧ソ連政府の情報公開については7割が信頼していなかった。フランス政府の情報公開も5割弱が信頼していない。他方,福島の事故の際の日本の情報公開については6割が信頼していた。第2の結果は,食品の放射性物質の汚染に関するものである。チェルノブイリ事故の際,フランスでも放射性物質の被害にあったものの,5割の人々が食品内の放射性物質の安全性を確認していなかった。輸出されている日本の緑茶がEU規制値を満たしていても4割の人々が購入したがらなかった。第3の結果は,エネルギー政策に関するものである。福島の事故の後も,フランスでは9割の市民が国のエネルギー政策に変化がないと回答した。原発推進派が多数であるが,脱原発を推進する者も3割弱いた。更に,世帯員数が多い世帯は,電力コストの負担を増やしてまでも再生エネルギーを利用することは少ない。これらの結果は,原子力に前向きな国にあっても,原子力に依存するエネルギー政策や食品安全性に対する不安は高まりつつあることを示している。(著者抄録)