抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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クラフトパルプの残留リグニンは非フェノール性構造が大部分で,フェノール性構造が少量,そしてカルボニル構造が極少量である。塩素とオゾンはすべての構造のリグニンと反応する。二酸化塩素と酸素はフェノール性構造とカルボニル構造のリグニンと反応し,ハイポと過酸化水素はカルボニル構造と反応する。このように,リグニンとの反応性から晒薬品は3つのグループに分類できる。興味あることに,それぞれのグループにオゾン,酸素,過酸化水素があるので,理論的には無塩素漂白が可能である。一方,セルロースとの反応性からは,晒薬品は2つのグループに分けられる。1つのグループはカルボニル基を生成しない薬品であり(塩素,二酸化塩素,過酸化水素),もう一方のグループはカルボニル基を生成する薬品である(ハイポ,酸素,オゾン)。以上のメカニズムを考慮して,目的に応じて漂白シーケンスを組む。パルプの漂白では,脱リグニンを行うだけではなくセルロースの損傷をなるべく抑える必要があるので,パルプのカッパー価と粘度から適切な晒薬品を選択する。オゾン漂白段単独で白色度80%のパルプを得ようとすると,パルプ繊維表面の酸化生成物がオゾンを消費し,オゾン繊維内部への拡散を妨げて漂白反応を阻害するため,大量のオゾンを必要とし,オゾン消費率も著しく低下する。多段漂白にしてリグニンの反応中間体を除いてしまうことが肝要である。尚,パルプ粘度は強アルカリ溶液で測定するので,アルカリに不安定なカルボニル基を持つオゾン漂白パルプの粘度測定値は低くなり,パルプ強度とは必ずしも相関しない。(著者抄録)