抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿では,1953年から1954年のソニー(当時,東京通信工業,あるいは東通工として知られた)による,米国から日本へのトランジスタ製造の技術移転について調べた。ソニーの技術者は,本課題についての2冊の教科書(Bell研究所の「トランジスタ技術」を含む)を勉強することにより基本的な知識を得たが,これら2冊の教科書は必要な装置あるいは製造プロセスそのものについてはほとんど情報を与えなかった。ソニーは主任技術者,岩間和夫を米国に派遣し,トランジスタ製造プロセスを観察し,技術者と会話することにより直接的な知識を得た。1954年初め,岩間は米国から東京のソニー本社に多くの手紙と報告書を送った。このドキュメントのコレクションは「岩間レポート」として知られ,ここで歴史的な研究として初めて解析した。岩間レポートと「トランジスタ技術」に含まれる技術情報は情報伝達に重要な役割を担った。しかし,日本における岩間の同僚も,岩間が送った技術情報に基づく彼ら自身のトランジスタ製造経験のフィードバックに基づくその研究の重要な指針を岩間に与えた。このため,ソニーの技術移転の成功は,知識の一方向的な伝達としてではなく,観察と記述による通信が同時に働いた相互の会話プロセスとして解釈できる。(翻訳著者抄録)