抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿は,国宝慈光寺経(法華経一品経,阿弥陀経,般若心経)に関して,修理に先立って行われた材料調査の結果を報告した。慈光寺経は鎌倉時代に製作された写経であり,国宝久能寺経,国宝平家納経と並ぶ三大装飾経の一つである。慈光寺経の中でも傷みが激しい法華経一品経の五百弟子受記品と阿弥陀経の二巻について蛍光X線分析による非破壊・非接触の調査を行った結果,いずれの経巻からも真鍮の存在を支持する結果が見出された。五百弟子受記品については,経文の金色文字および金色の界線部分において金と真鍮が一緒に使われていることが明らかになった。一方,阿弥陀経については,界線が真鍮だけで書かれていることがわかり,現在暗緑色から灰緑色に変色している原因が銅の腐食によるものであることが推定された。