抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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昨今の個人消費の低迷傾向により,コモディティ商品に対する消費者の低価格指向は強まり,メーカーは価格競争を余儀なくされている。とりわけ,コモディティ商品の中でも食品はその傾向が顕著であり,広告費の減少や店頭での広告表現,メディア戦略の見直しを迫られている。そのため,価格に代わる新たな競争次元を探求しようとする動きが活発になり,ブランドの概念がフード・ビジネス上でも重要課題として注目されるようになって来た。つまり,フード・ビジネス上でブランド概念に正当な位置づけと役割を与える事が急務となっている。一方,商品を流通させている小売業者にも,ブランドは多くの重要な機能を果たしている。消費者が,その店舗でしか購入できない特定のブランドや商品を期待するようになってきている。例えば,チェーン・システムを核とする大規模小売業の力は,消費者のストアに対する忠誠度や信頼度を強力にしている。PB製品は,そういったストアの信頼度を基盤として開発され,今やNB製品よりも高価格・高品質を訴求しているPB製品が顧客に受容されつつある。すなわち,製造業からの発想であった,元来のブランド・マーケティングのコンセプトはフード・ビジネスの領域において変革を余儀なくされている。本稿では,上述の社会背景や産業構造の変化とフード・ビジネスにおけるブランド概念の進展を視野に入れつつ,まずは元来のマーケティング戦略におけるブランドの定義とブランド・エクイティの有用性を明確にする。次に,フード・ビジネスを内食,中食,外食に分類し,それぞれの関係性とその範囲を検討する。そして,コモディティ商品の特徴を明確に示し,フード・ビジネスにおいてコモディティの範囲と範囲外をブランド・コンセプトを元に論議する。また,フード・ビジネスにおける消費者行動の実態を,第四の経済価値である経験価値とサービスを超越した概念とされるホスピタリティに焦点を当てて考察する。最後に,ブランド概念がマーケティング戦略に導入された際,多岐にわたる戦略変更が必要だったように,フード・ビジネスにおけるブランド価値の意味づけ,及びブランド戦略の今後の方向性を多面的な観点から検討を試みる。(著者抄録)