抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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著者らは,Mw7.0の2016年熊本地震の近断層領域の強震記録から静的変位と長周期パルスを推定し,それらを以前の予測方程式と比較した。さらに,著者らは,特徴における予測方程式の改良または開発を目的として,以前の方程式にとって未使用の観測データと他のパラメータとの関係を調べた。K-NET,KiK-net,JMA-95型および地方自治体の強震記録の加速度時刻歴から,速度と変位の時刻歴を導出した。次に,静的変位D
p,長周期(>2秒)速度パルスの周期T
pおよび最大D
p方向(Fling-P)に対するPGVを推定した。距離がおよそ0kmの西原村のFling-P成分のT
pは2.6秒であり,距離が15km未満の8つの観測点のT
pの平均は3.1秒であった。距離が30km未満の16観測点のT
pの平均は4.0秒であった。S波部分における1つの余弦型パルスが極めて近い断層領域で観測された。他方,15kmより長い距離を有する観測点においては,P波とS波部分の間でFlingステップが開始されるため,T
pはより長くなった。Kamaiら(2014)およびBurksとBaker(2016)による方程式から予測したT
pは,それぞれ5.5秒および3.5秒であった。これらの2つの方程式を,30km未満または以上の距離があるデータを用いて開発し,Mwだけによってモデル化した。Kamaiらは,シナリオ地震に対する合成データを使用した。BurksとBakerは,合成データと強震記録の両方を使用した。しかし,日本の地殻内地震に関する記録は用いられなかった。予測子の1つとして距離およびデータとして熊本地震から入手したT
pを使用することによって,T
p方程式を改良することができた。垂直成分のT
pは,Fling-P成分のT
pとほとんど同じであった。Fling-Pと垂直成分のPGVは,平均して以前の方程式と一致した。しかし,西原村のFling-P成分のPGVは277cm/sであり,それはSiとMidorikawa(1999)による方程式の平均プラス標準偏差よりで大きかった。直交成分に対するFling-P成分のPGV比は,1km未満の距離を有する3つの観測点で2または2.5倍であり,距離が長くなるにつれて1に向けて小さくなった。西原村の垂直成分のPGVは152cm/sであった。これは,Satoh(2008)による方程式の平均プラス標準偏差より大きかった。西原村で観測されたFling-P成分のD
pは154cmであった。Mwを用いて平均滑りを予測した以前の4つの方程式による予測D
pは,0kmの距離で80~90cmであった。他方,断層面積とMwを用いて平均滑りを予測した予測D
pは,0~30kmで観測されたD
pと一致した。最良の方程式で予測したD
pは,0kmの距離において141cmであり,上盤側の10kmの距離においては56cmであった。断層縁からの走向方向に沿った距離の比が小さいとき,観測されるD
pはより小さくなった。この特徴は,多くの断層の破裂変位の点測定から滑り分布のために開発した以前の破壊形状モデルと一致した。このパラメータは,D
p方程式を改良する良い予測子となると思われる。西原村の垂直成分のD
pは179cmである。しかし,法線滑りを考慮した垂直成分のためのD
pとT
pの方程式が全くなかった。(翻訳著者抄録)