抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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本研究の目的は,Frank Lloyd Wrightの建築的思考と彼のデザインとの関係を,彼の仕事の変容システムの分析を通して明らかにすることである。本論文では,「Ladies’ Home Journal」に著され,またPrairie Housesのプロトタイプの一つと見なされた「A Home in a Prairie Town」に着目した。それは,本研究によって定義されたPrairie Housesの8つのタイプからのHickox型の分類に属している。それは,食堂,居間,図書室の配置を直線的とし,室の連続として本研究で先行規定した図Bにより(D-Lib)と定義した。本論文は,彼の仕事のHickox型として以下の21の住宅を扱った。Emmond邸/Parker邸/Woolley邸/Devin邸案/Hickox邸/Home in a Prairie Town/Henderson邸/Metzger邸案/Cheney邸/D.Martin邸/Sutton邸/A.Johnson邸/Westcott邸/Bock studio案/Shaw邸案/M.Roberts邸案/Irving邸/Balch邸/H.Adams邸案#1/H.Jaxon邸案/Brigham邸である。Hickox邸に先行する最初の3つの住宅は,食堂,居間,および図書室の間に窪みを有するスライディングドアを有する。Devin邸案は,3つの部屋の間にアルコーブを有する。Hickox邸はそれらの間に間仕切りがなく,また続く3つの住宅はそれと同じである。それらは天井または開放天井空間上の梁によって居間を強調する。Cheney邸では,モールディングを有する舟底天井が3つの部屋を一体化し,書棚がある天井の下の飛長押がそれらを分割する。D.Martin邸には,カーテンを有する二重飛長押がある。DMartin邸の初期とその後の計画では,建設された計画と天井上のモールディングのデザインが異なる。それは,Wrightが,3つの部屋とモールディングとの関係を研究し続けていることを示す。A.Johnson邸の居間天井のモールディングは,両側の外側ポーチに広がる。Westcott邸における3室の間の境界は,居間における暖炉の各端部から延長された,天井に届かない間仕切りによりあいまいである。3つの部屋と家具の名前はBock studio案の計画に書かれているが,境界は存在しない。H.Adams邸案#1は,異なる幅の飛長押,アコーディオンカーテン,および3室を囲む天井上のモールディングを有する非対称プランである。Brigham邸は,馬蹄形の中央炉辺空間の周りを3室が囲む。Hickox型住宅の変容の分析の結果は,以下の通りである。1.Hickox型住宅の変容は,居間,食堂御お呼び図書室の関係から存在する。2.要素は,変容において重要な役割を有し,それは即ち,連続天井,飛長押,スライディングドア,吊型間仕切り壁,モールディング,カーテンおよび短いスクリーンである。3.変容の主なモチーフは,「一体化された個別化」として理解されている。結論として,Hickox型住宅の意味は,「有機的シンプリシティ」の概念として理解されている。(翻訳著者抄録)
