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J-GLOBAL ID：201802214181509898   整理番号：18A2140969

カナダ,ラブラドル・ヌリアック表成岩類の地質と年代 -地球最古の表成岩とプレートテクトニクスの証拠-

Geology and Geochronology of Nulliak Supracrustal Rocks in Labrador, Canada: The Oldest Supracrustal Rocks and Evidence for the Operation of Plate Tectonics

著者 (3件)： 小宮剛 (東京大学大学院総合文化研究科宇宙地球部会) ,  青木翔吾 (東京大学大学院総合文化研究科宇宙地球部会) ,  吉田聡 (東京大学大学院総合文化研究科宇宙地球部会)
資料名： 地学雑誌  (Journal of Geography)
巻： 127  号： 5  ページ： 683-704(J-STAGE)  発行年： 2018年 
JST資料番号： G0643A  ISSN： 0022-135X  CODEN： CGZAA  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 解説  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 地球はユニークな惑星であり,プレートテクトニクスが作用することにより,地質学的時間を通して高度に進化し多様化した表面環境が形成される。アカスタ片麻岩複合岩体における40.3億年前の花崗岩質片麻岩の出現は,プレートテクトニクスが原太古代に戻ることを示唆するが,初期地球上の地質学的証拠が欠如しているために,いつ,プレートテクトニクスが始まったかについてまだ議論されている。原太古代年代の表成岩類は,初期地球におけるテクトニクスに関する議論を解決するための重要な証拠を提供するものであるが,表成岩類の発見は少ない。したがって,プレートテクトニクス作用に関連する重要な証拠を見出すために,地質学的および地質年代学的研究を,北ラブラドルのサグレック岩体の表成岩類について行った。サグレック岩体は,花崗岩質片麻岩と表成岩類の下に横たわり,それは,中期太古代サグレック岩脈との地質学的関係に基づいて,2つのグループに細分化される。一連のプレサグレック岩脈は,ウイバック片麻岩とヌリアック表成岩類から成り,一方,一連のポストサグレック岩脈は,それぞれ,リスター片麻岩とウベルナビック表成岩類から構成されている。サグレック岩体におけるヌリアック表成岩類帯の地質学的マッピングによると,その地帯は,超苦鉄質岩,苦鉄質火山岩,縞状鉄鉱層,チャートと炭酸塩岩の化学堆積岩,それに,泥質岩と礫岩の砕屑性堆積岩を含んでいる。特に,St.John’s Harbor南部地域は,いわゆる,オフィライト層序と言われる,下位から超苦鉄質岩,苦鉄質岩,及び堆積岩の断層境界サブユニットの堆積物から成っている。さらに,小規模二重構造がこの領域にわたって見出された。現代の付加複合岩体の岩石層序と地質構造でのそれらの類似性は,ヌリアック表成岩類帯が原太古代付加複合岩体の一つであることを示唆する。また,詳細なスケッチマップが,表成岩類と花崗岩質片麻岩の間の貫入関係を観察するために,露頭から作成されている。それらの一つは,苦鉄質と珪長質マグマ成分の6世代に亘るものから成っている;すなわち,ジルコンのU-Pb年代測定を第3世代と第6世代から行い,それぞれ39.5と38.7億年前の年代を得た。前者は表成岩類の最少年代である。これまで,最も古い表成岩類は,西グリーンランド南部の38.3億年前のアキリア・アソシエーションである;すなわち,ヌリアック表成岩類は世界で最も古い表成岩類である。付加複合岩体,オフィオライトおよび花崗岩類の存在は,初期地球上のプレートテクトニクスに対する最も古い証拠を提供するものである。(翻訳著者抄録)

シソーラス用語： カナダ ,  *プレートテクトニクス ,  珪質岩 ,  年代測定 ,  大陸地殻 ,  マントル ,  サブダクション ,  始生代 ,  片麻岩 ,  ジルコン ,  花崗岩類 ,  *地球 ,  *地質年代 ,  被覆岩層 ,  塩基性岩 ,  堆積岩 ,  複合岩体 ,  貫入岩 ,  マグマ ,  ウラン-トリウム-鉛法年代測定 ,  岩脈 ,  鉱物共生関係
準シソーラス用語： ザグレック岩体 ,  ジルコンU-Pb年代測定 ,  プレート沈み込み ,  珪長質マグマ ,  *初期地球

著者キーワード (10件)： 初期 ,  付加 ,  イカ-ウイ イカ ウカ ,  サク サク ,  フ -トテクト ,  始生代 ,  付加錯体 ,  Iqaluk-Uivak片麻岩 ,  Saglekブロック ,  プレートテクトニクス

分類 (2件)： 地質構造・テクトニクス  (DE04030Y) ,  年代測定  (DD01050W)

引用文献 (40件)：

• Bowring, S.A. and Williams, I.S. (1999): Priscoan (4.00-4.03 Ga) orthogneisses from northwestern Canada. Contributions to Mineralogy and Petrology, 134, 3-16.
• Bridgwater, D. and Schiøtte, L. (1991): The Archaean gneiss complex of northern Labrador. A review of current results, idea and problems. Bulletin of the Geological Society of Denmark, 39, 153-166.
• Bridgwater, D., Collerson, K.D., Hurst, R.W. and Jesseau, C.W. (1975): Field characters of the early Precambrian rocks from Saglek, coast of Labrador, Report of activities, part A. Geological Survey of Canada, Paper, 75-1A, 287-296.
• Brown, M. (2015): Paleo- to Mesoarchean polymetamorphism in the Barberton granite-greenstone belt, South Africa: Constraints from U-Pb monazite and Lu-Hf garnet geochronology on the tectonic processes that shaped the belt: Discussion. Geological Society of America Bulletin, 127, 1550-1557.
• Caro, G. (2011): Early silicate Earth differentiation. Annual Review of Earth and Planetary Sciences, 39, 31-58.

タイトルに関連する用語 (6件)： カナダ ,  地質 ,  年代 ,  地球 ,  プレートテクトニクス ,  証拠