抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ニッポンシロトビムシ,ホソゲツチトビムシ,およびベソッカキトビムシの3種は積雪下で活動することが明らかになった。ニッポンシロトビムシは,落葉広葉樹林において,積雪下に設置した菌類トラップから優占的に採取された。その体長は,2月下旬で平均0.72mm,その後も同調的に増加し,4月上旬には2mmとなった。ニッポンシロトビムシは夏期にはまったく検出されなかったので,一化性と考えられた。ホソゲツチトビムシとベソッカキトビムシは,積雪下において火山礫の地面に生える地衣類Cladonia sp.から頻繁に採取された。ホソゲツチトビムシでは,10月に小型個体が出現し5月の平均体長は2mm以上に達し,常に中腸の充満した個体が含まれていた。本種も夏期にはまったく採取されず,一化性と推定された。ベソッカキトビムシの平均体長は2014年12月で0.82mm,2015年3月には0.72mmと,積雪下で減少した。また3月には,前年12月にほとんど観られなかった0.69mm以下の小型個体が大半を占めた。しかし翌冬には,明確な平均体長の減少は観察されず,2016年1月の少雪が関与していると考えられた。さらに,20.1~40.3%の割合で0.96mm以上の大型個体が常に存在した。このように,ベソッカキトビムシの個体群構造は積雪条件に影響されると考えられた。ベソッカキトビムシでは,両冬とも12月に中腸の満たされた個体は観察されなかったが,3月には中腸の満たされた個体が観られた。すなわち本種は,冬期前半休眠し後半になって摂食し,積雪条件が好適な場合には繁殖すると推定された。以上のことから,これら3種のトビムシは積雪下においてもそれぞれ異なったやり方で活動していることが明らかになった。(著者抄録)