抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
放射性廃棄物地層処分の性能評価において,放射性核種の緩衝材(ベントナイト),岩石及びセメント系材料中での収着現象は,その移行遅延を支配する重要な現象の一つである。これら収着現象の理解,信頼性の高い収着データを集約したデータベース,並びに現象論的モデル/評価手法の開発が,性能評価において様々な地球化学条件を考慮して信頼性の高い核種移行パラメータ設定を行う上で重要となる。この目的のために,日本原子力研究開発機構では,ベントナイト,岩石及びセメント系材料を対象として,収着パラメータに関するデータベース開発を進めている。この収着データベース(SDB)は,第2次取りまとめを契機として最初のデータベースを整備し,ホームページでの公開を進めてきた。さらに,今後の性能評価におけるニーズへ対応するため,データベースに含まれるデータの信頼度評価,実際の地質環境に対するパラメータ設定におけるデータベース適用等に着目して,データベースの改良・更新を継続的に実施してきた。今回,性能評価における収着分配係数(K
d)設定のための統合的手法の構築の基礎として,収着データベース(JAEA-SDB)のデータ拡充を行った。本報告では,はじめにJAEA-SDBのデータベースの構造と内容の概要を確認したうえで,K
d設定や収着モデル開発の最近の取り組みにおいて抽出された課題として抽出された以下に示す3つの系に着目して実施した,K
dデータと信頼度情報の拡充について報告する。i)収着モデルを開発・確証するための粘土系のK
dデータ, ii)幅広い地球化学条件に対応したデータセットを拡充するための堆積岩系のK
dデータ,iii)パラメータ設定に用いるデータセットを拡充するためのセメント系材料のK
dデータ。今回の更新において,30の文献から4,256件のK
dデータとその信頼度情報が追加され,JAEA-SDBに含まれるK
dデータは約63,000件となり,全データのうちの約69%のデータに対して信頼度情報が付与されたこととなる。今回更新されたJAEA-SDBによって,今後の性能評価における収着パラメータ設定に向けて,有効な基盤情報を提供するものと期待される。(著者抄録)