抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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北太平洋への大気からの鉄(Fe)の影響を見積もるためには,その近隣である北海道東部に飛来するエアロゾル中のFe濃度を計測することに意味がある。これまでにFe濃度を計測してきた結果,エアロゾル中の総Feに対する水溶性Feの比が増加していることがわかってきた。この変化の原因を明らかにすることを目的として,本研究はエアロゾル中のマンガン(Mn)とアルミニウム(Al)濃度を測定した。その結果,エアロゾル中のMn濃度が,2012年から2014年の3年間で増加していることがわかった。このためエアロゾル中の鉄とマンガンの比(Fe/Mn)は低下していた。また,季節変化をみると厳冬期にFe/Mnが低下していた。このことから,冬季の化石燃料燃焼の増加が短距離輸送,長距離輸送共にエアロゾル中のMnの増加に関係していると考えられる。Mnと水溶性Feの直接相関をとると,微小粒子のみに相関(r=0.403)がみられた。このことから,長距離輸送による化石燃料などの増加によるMnの増加が水溶性Feの増加と関係していたことがみられた。また,短距離輸送の粗大粒子中のAlと水溶性Feの間にも弱い相関(r=0.239)がみられた。粗大粒子は土壌の巻き上がりである可能性があるため,地域的なAlの増加は総Feの増加につながり,その結果水溶性Feも増加したと考えられる。一方,網走地域は農耕地であり土壌改良のためAlが人為的に施肥されることがあるが,これと水溶性Feに直接の関わりは見られなかった。以上のことから,エアロゾル中の水溶性Fe増加は,長距離輸送のMnの増加と起源を等しくするため,化石燃料燃焼に一因があると考えられる。(著者抄録)