抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2002年以来,日本の京都大学の霊長類研究所とミャンマーの文化省考古局は,中央ミャンマーの2つの大河,Ayeyarwady河とChindwin河に沿って広く分布する,上部ペグー層群とイラワジ堆積層を含む後期新第三紀堆積物の古生物学的調査を共同で行った。ここでは,主に中央ミャンマーの4つの後期新第三紀地域,すなわちThanbinkan(中期中新世後期),Yenangyaung(後期中新世前期),Chaingzauk(最後期中新世/前期鮮新世)およびGwebin(後期鮮新世)について,ミャンマーにおける哺乳動物相の変遷を調べた。その結果,陸生哺乳類動物相には少なくとも2回のターンオーバ現象が認められた。最初の動物相ターンオーバーは,中期中新世と後期中新世の間の境界付近で生じている可能性がある。デイノテリウム類(Prodeinotherium),アメベロドン類(Amebelodon),および数個のゴンフォテリウム類(Protanancus,Anancus,および未確認の分類群)を含む多くの原始的長鼻類は,Yenangyaung地域からは発見されずThanbinkan地域で発見された。2番目のターンオーバーは後期中新世中期に生じている可能性がある。すなわち,Yenangyaung動物群では一般的なTetraconodon,Hipparion,Bramatherium,およびBrachypotheriumを含む,中型から大型の陸生哺乳動物が,Sivachoerus,Hexaprotodon,RhinocerosやStegodonなどの新しいメンバーに置き換わっていた。これらのターンオーバー現象は,中央ミャンマーにおける中期中新世前期における環境変化に影響されたと考えられる。しかしながら,著者らは,これまで中央ミャンマーの新第三紀堆積物から,非常にわずかであるが小型の哺乳動物化石を発見した。そして,最も大型の化石を寺院および/または的確な地域データを欠いている公共博物館に寄贈した。大型だけでなく中型から小型までの哺乳動物を含む試料をさらに加えることにより,中央ミャンマーにおける後期新三紀の哺乳動物相における動物群の変遷に光が当たることになると思われる。(翻訳著者抄録)