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J-GLOBAL ID:201802222517050059   整理番号:18A0658494

光照射による収穫後ウンシュウミカン果実の腐敗軽減と着色促進に関する研究

Studies on Control of Postharvest Decay and Rind Color Development in Satsuma Mandarin Fruit by Light Irradiation
著者 (1件):
資料名:
号: 11  ページ: 41P  発行年: 2018年03月31日 
JST資料番号: J0882B  ISSN: 1883-3667  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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近年,温暖化の影響によりウンシュウミカン果実の貯蔵性が低下し,貯蔵中の腐敗が増えるとともに,秋季や収穫前の不安定な気象により果実の着色遅れが懸念されている。本研究では,LED光等の光照射技術を活用することによる収穫後のウンシュウミカン果実の腐敗(貯蔵病害)の軽減を主目的とし,着色促進や機能性成分増加についても検討を行った。1.青色LED光照射による収穫後ウンシュウミカン果実の青かび病抑制効果:青色LED光照射が,収穫後のウンシュウミカンの青かび病抑制と果実品質に及ぼす影響について室内試験を行った。最初に,2つの異なる照度における青色LED光(80μmol・m-2・s-1,8μmol・m-2・s-1)が青かび病菌の生育に及ぼす影響をin vitroにおいて調査した結果,両方の照度で青かび病菌の生育が抑制された。次に,‘青島温州’果実に青かび病菌を接種後,6日間青色LED光照射(80μmol・m-2・s-1)を行った結果,照射果は無照射果と比較して,腐敗部(軟化部,菌糸部,胞子形成部)が有意に小さくなった。続いて,果実に青色LED光を6日間照射した後,青かび病菌を付傷接種し,腐敗部の広がりを調査した。その結果,接種菌濃度が低い場合において,照射果は無照射果と比較して腐敗部が有意に小さくなった。このことから,青色LED光は青かび病菌の生育抑制と果皮の病害抵抗性を高める可能性が推測された。また,低照度(8μmol・m-2・s-1)の青色LED光照射でも無照射の場合と比較し,胞子形成部の拡大が48%抑制されたことから,高照度だけでなく低照度の青色LED光照射も果実腐敗抑制に有効である可能性が示唆された。恒温機内における試験において,青色LED光照射の有無により,果実の減量歩合とクエン酸含量に差がみられたが,その他の果実品質については照射の影響は認められなかった。このことから青色LED光は,ウンシュウミカン果実の腐敗抑制に有効な技術であることが示された。2.プロヒドロジャスモン加用ジベレリンの秋季散布と収穫後青色LED光照射がウンシュウミカン果実の貯蔵中における腐敗と貯蔵後の果実品質に及ぼす影響:ウンシュウミカン’青島温州‘果実において,秋季のプロヒドロジャスモン加用ジベレリン(以下,GP)散布と収穫後の青色LED光照射が貯蔵中の腐敗に及ぼす影響について調査した。ジベレリン3.3ppmとプロヒドロジャスモン25ppmを混合して,9月に散布し,12月に果実を収穫し,予措を行った後に8°C貯蔵庫にて92日間貯蔵した。貯蔵中,青色LED光(ピーク波長465nm,放射照度10μmol・m-2・s-1)を果実に照射した(照射時間:1日当たり12時間)。その結果,青色LED光照射により試験開始63~92日目の累積腐敗果率が,低く推移することが明らかとなった。また,GP散布のみでは,累積腐敗果率に対する抑制効果が,認められなかった。GP散布と収穫後青色LED光照射の両方を行った果実は,収穫後の滴定酸含量が高い傾向にあったが,糖度についてはこれらの処理による差は認められなかった。以上の結果から,カンキツ貯蔵庫における収穫後の青色LED光照射は,貯蔵後期のウンシュウミカン果実の貯蔵病害を中心とした腐敗を抑制するが,上記条件におけるGP散布のみでは腐敗抑制効果は少なく,青色LED光との交互作用も小さいことが示唆された。3.UV-B照射による収穫後温州ミカン果実の腐敗軽減と抵抗性物質の生成:収穫後ウンシュウミカン果実において,紫外線(UV-B)照射が青かび病の発生,病斑拡大,と果実品質に及ぼす影響について調査するとともに,UV-B照射による菌接種を行わない果実の腐敗軽減効果と抵抗性物質であるスコパロン生成について検証を行った。in vitroにおいて,試験を行ったすべてのUV-B照射(15,30,60,120kJ・m-2)が,青かび病菌に対して99%以上の高い殺菌効果を示した。続いて,‘青島温州’の早期収穫果(収穫日:10月30日)と通常収穫果(収穫日:11月20日)に対して,菌接種前または接種後にUV-B照射を行い,腐敗果率と軟化部,菌糸部の直径について調査した。菌接種後5日目における軟化部の直径と発生率は,UV-B照射の有無により違いがみられなかった。しかし,早期,通常収穫果とも,60kJ・m-2 UV-B照射により青かび病菌接種後5日目の菌糸部直径が小さくなった。早期収穫果においては,菌接種前,接種後のUV-B照射に関わらず30kJ・m-2 UV-B,60kJ・m-2 UV-B照射により,菌糸部発生率が減少した。また,UV-B照射によって,果実の糖度,クエン酸含量,果実比重,果肉歩合,果皮色(L*,a*,b*)等に影響はみられなかった。最後に,出荷時のUV-B照射による流通時の腐敗抑制を想定し,付傷無し・菌接種無しの果実に対してUV-B照射を行った結果,照射果は無照射果と比較し,青かび病,緑かび病を中心とした腐敗が抑制されることが明らかとなり,UV-B照射20日後の果皮にスコパロンが47μg・g-1 F.W.生成されていることを確認した。このことから,出荷前のウンシュウミカンにUV-B照射を行った場合,その後の流通過程における果実腐敗を抑制できる可能性が示された。4.低照度赤色LED光照射による収穫後ウンシュウミカン果実の着色促進とβ-クリプトキサンチンの増加:低照度の赤色LED光照射(660nm,12μmol・m-2・s-1)による収穫後ウンシュウミカン果実の着色促進について,異なる2つの時期(早期収穫11月14日,通常収穫11月25日)に果実の収穫を行い,試験を行った。...(著者抄録)
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果実とその加工品 
引用文献 (86件):
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