抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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2014年2-5月に北海道旭川市嵐山自然林内でエゾフクロウStrix uralensisのペリットを60個採集し,含まれる餌動物について報告した(出羽・末武 2015)。その後,2014年10月末-2015年4月20日に128個,2015年11月2日-2016年5月17日に168個のペリットを採集,含まれる餌動物を分析した。その結果タイリクヤチネズミMyodes rufocanusを2014年-2015年に197個体(71.6%,餌動物全体に占める個体数割合,以下同じ),2015年-2016年に211個体(70.3%),エゾアカネズミApodemus speciosusを2014年-2015年に54個体(19.6%),2015年-2016年に17個体(5.7%),ヒメネズミA.argenteusを2014年-2015年に11個体(4.0%),2015年-2016年に27個体(9.0%)を確認,この3種のネズミ類が前報と同じくエゾフクロウの最も主要な餌動物であることが確認された。2年間で,エゾトガリネズミSorex caecutiensは10個体,ドブネズミRattus norvegicusは2個体のみであった。エゾモモンガPteromys volans 16個体,鳥類23個体が2年間で確認され,ネズミ類程ではないが主要な餌動物と考えられた。今回の調査で,エゾフクロウの餌動物として初めてコテングコウモリMurina ussuriensisが2年間で5個体確認された。最も主要な餌動物のネズミ類3種内での個体数比率をみると,タイリクヤチネズミは74.6%(2014年-2015年),82.1%(2015年-2016年)に対してエゾアカネズミはそれぞれ20.5%,6.6%,ヒメネズミは4.2%,10.5%でタイリクヤチネズミの比率が最も高かった。タイリクヤチネズミが選択的に捕食されているかどうかについて,積雪との関係を重要な要因として考察した。(著者抄録)
