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J-GLOBAL ID:201802229474809851   整理番号:18A1341966

早川家住宅における建築関係史料と濃尾地震後の耐震対策について -近代和風建築早川家住宅に関する研究 その1-

A STUDY ON HISTORICAL MATERIALS OF ARCHITECTURE AND SEISMIC COUNTERMEASURES ADOPTED AFTER THE NOBI EARTHQUAKE OF HAYAKAWA RESIDENCE - A study on the modern Japanese-style architecture, Hayakawa residence. Part. 1 -
著者 (3件):
資料名:
巻: 83  号: 748  ページ: 1099-1107(J-STAGE)  発行年: 2018年 
JST資料番号: Y0894A  ISSN: 1340-4210  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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早川家住宅は,農村邸宅であり,岐阜県における優れた近代和風建築住宅である。農村邸宅の当主の多くは,実業家や大商人との交流を有していた。彼らは,高度に洗練され,知的で,また,茶道の宗匠であった。さらに,建築家がその職能を獲得する前には,大工よりも,一族の当主が,主に計画され,デザインされた邸宅の建築に関する深い洞察と直感を有していた。早川家住宅で保存された,多くの歴史的材料がある。それらは,住宅を建設する場合の当主の役割を詳細に記述している。また,早川家住宅の多くの建物は,1891年に発生した濃尾地震によって激しく損傷を受け,地震直後に再建された。再建に関する地震対策の以下の詳細が確認され得る。即ち,1)地下水位は現在の地下水位より2.4m低い。40の穴が地下水位において掘られた。各穴において,9~10本の松柱を基礎として設置した。柱の直径は15cmで長さは約3mである。2)座敷における細い柱の関係は,内法貫により弱くなり,大工の棟梁は,柱と丸い鉄ボルトを持つ内法貫との緊結を示唆した。3)「地震梁」と呼ばれる丸太を,ブレースとして天井上に交差させた。4)「床柱」を除いた柱の寸法は全て15cm角以上である。5)滑りから防ぐために特定の継手を基礎に使用し,それは外部から見ることができない。6)棟梁は,筋交いの数が十分であるか否かに関する助言を与えた。7)貫は全て柱に込み栓止めとする。8)柱で使用されるほぞは,1本おきに基礎まで達する。9)梁は継がずに1本物の木材を用いた。10)上記に挙げた歴史的資料により検証できる地震対策に加えて,残存する建築物において桁の隅に火打梁を挿入し,屋根板を斜めに取り付けていることを見ることができる。江戸末期と明治期以来,我が国における建築の近代化とともに,伝統的な木造建築は近代化においても変化し,革新されている。特に,1891年の濃尾地震後に繰返された地震災害から,地震対策は建築家を通して非常に進化した。それらは,従来の建設の弱点を指摘して,解決する計画を考案した。その最初の例の一つとして,濃尾地震からの1年後である,1892年6月に設立された地震防災調査委員会により「木構造住宅の耐震対策に関する指針」が発表され,山形県坂田地域の復興住宅構造の指針として使用されている。さらに,伊藤為吉は,固定建築金物を考案するとともに,筋交いと基礎の必要性を主張し,また「建築雑誌」で発表された論説において,それらの使い方の例を示した。彼は,伝統的な木造軸組み構造には4つの欠陥があることを説明したがそれは,1.屋根の重量が重すぎること。2.柱が孤立していること。3.構造が,継手と仕口のために切欠きされていること。4.貫と楔による結合が一時的であること。である。濃尾地震後におけるこれらの環境下において,早川周造は地震被害を独自に分析し,そして再建時には,地震対策として基礎工法や木造軸組構造を導入した。彼の先駆的な働きは称賛に値する。(翻訳著者抄録)
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分類 (2件):
分類
JSTが定めた文献の分類名称とコードです
木構造  ,  建築物の耐震,免震,制震,防振 
引用文献 (7件):
  • 1) Kazuyoshi Fumoto, Yoshihiro Narumi, Shigeru Kubodera, and Ryogo Tachi : Report on Comprehensive research of Japanese-style modern Architecture in Gifu Prefecture, Educational Committee of Gifu Prefecture, 2016.3 (in Japanese)
    麓和善・鳴海祥博・窪寺茂・舘龍午:岐阜県近代和風総合調査報告書, 岐阜県教育委員会, 2016.3
  • 2) Masao Nakamura : Hayakawa Residence Part1, Japanese Architecture, No. 18, Kenchiku Shiryo Kenkyusha pp160-163, 1983.12(in Japanese) Masao Nakamura: Hayakawa Residence Part2, Japanese Architecture, No. 19, Kenchiku Shiryo Kenkyusha pp170-173, 1984.2(in Japanese)
    中村昌生:早川邸その1, 和風建築, 第18号, 建築資料研究社, pp160-163, 1983.12, 中村昌生:早川邸その2, 和風建築, 第19号, 建築資料研究社, pp170-173, 1984.2
  • 3) Takahiro Shimizu, Katsuhiro Kawata : Research on Shuzo Hayakawa residence of Kaizu city, Gifu Prefecture - The transition of building within natural disaster and its countermeasures-. Japan Architecture Committee Tokai Branch research report No. 51, pp709-712, 2013.2(in Japanese)
    清水隆宏・河田克博:岐阜県海津市旧早川周造邸の研究-自然災害による邸内建築の変遷とその対策について-, 日本建築学会東海支部研究報告, 第51号, pp709-712, 2013.2
  • 4) Tatsuharu Nakanishi : Lord of Parliament, Shuzo Hayakawa, an extraordinary intellectual from Seinou, Arena, No. 11, Chubu University, pp. 349-356 2011.4(in Japanese)
    中西達治:貴族院議員早川周造西濃から出た不世出の文化人, アリーナ, 第11号, 中部大学, pp. 349-356, 2011.4
  • 5) Josiah Conder (speechifier), Daikichi Taki (translator), Kenkichi Ichihigashi (stenographer) : Effects of the recent earthquakes on various building types, Journal of Architecture and Building Science, No. 63, pp63-67, 1892.3, No. 64, pp92-99, 1892.4, No. 65, pp132-137, 1892.5(in Japanese)
    ゼー, コンドル氏演説, 瀧大吉氏口訳, 市東謙吉速記:各種建物ニ関シ近来ノ地震ノ結果, 建築雑誌, 第63号, pp63-67, 1892年3月, 第64号, pp92-99, 1892.4, 65号, pp132-137, 1892.5
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