抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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マメ科マメ亜科インゲンマメ連に属するヤブマメ属Amphicarpaeaはアフリカに1種,アジアに2-3種,北アメリカ1種が分布し,形態的にはShuteriaに近縁とされ,ダイズ連(Huchinson J.,Gen.Fl.Pl.1,1964)またはダイズ亜連(Lackey J.A.in Polhill R.M.and Raven P.H.(eds.),Adv.Leg.Systematics 1,1981)に分類されて,それに所属する属の中で両属は近い位置に置かれてきた。また,これまでに調べられた両属の一部の種類では花粉形態において明瞭な違いが知られていた。しかし,分子系統解析ではヤブマメ属はShuteriaと全く離れた位置にあることが明らかにされている(Lee and Hymowitz 2001)。このため,ヤブマメ属全種について花粉形態を精査し,Shuteriaと比較した(Ohashi and Ohashi 2016)。その結果,A.africana(Hook.f.)Harmsの花粉形態はShuteriaと一致することが明らかとなり,Shuteria africanaに戻された(Ohashi and Ohashi 2016)。一方,形態的に分類学上の位置について疑問のあったAmphicarpaea ferrugineaは花粉形態ではAmphicarpaeaと一致した(Ohashi and Ohashi 2016)。そのため本研究ではS.africanaとヤブマメ属の関係を分子系統解析によって再検討した。S.africanaはヤブマメ属とShuteria africana-Amphicarpaea cladeを形成し,クレード内でS.africanaは最初に分岐し,ヤブマメ属の姉妹群であった。S.africanaは花粉形態でShuteria属との類縁性が示唆されたが,これを支持する分子系統の証拠は得られなかった。しかし,Amphicarpaea ferrugineaはAmphicarpaea cladeに属し,本種をヤブマメ属とする花粉形態の証拠と分子系統の証拠は一致した。この点からヤブマメ属(Ohashi and Ohashi 2016)は形態・花粉形態・分子系統において矛盾なくまとまった群と考えられる。一方,S.africana(=Amphicarpaea africana)については,花粉形態と分子系統の証拠の矛盾を解決するため,新属Afroamphica H. Ohashi & K.Ohashiを設立し,Afroamphica africana(Hook.f.)H.Ohashi & K.Ohashiとすることを提案した。(著者抄録)