抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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木材の可視光領域における光の透過と反射の関係について調べる目的で,圧縮率の異なるスギ試料を種々の圧縮条件にて圧縮し,その反射および透過強度を測定した。なお,圧縮変形を保持するために,圧縮前にサンプルには低分子フェノール樹脂を含浸した。圧縮の程度によらず,短波長域では反射・透過のどちらの値も低い値を示した。一方で,長波長域においては,内こう容積が初期容積の30%以下となるような圧縮によって,試料の透過率が増加したが,反射率は減少した。また,透過率・反射率ともに重量の影響を受けなかった。これらの結果は,可視光長波長域では,光が吸収されることにより透過の程度が決定されるというランベルト・ベール式に従わないことを示している。そこで,透過率と反射率の関係についてみたところ,負の比例関係にあった。このことから,木材の試料内部を長波長可視光が透過するには,層内における散乱の程度(反射が何回生じるか)が重要であると推察された。そこで,細胞の直径を30μm,細胞壁の屈折率を1.6と仮定したモデルにより透過率を算出したところ,実測の透過率と厚さの関係とよく一致した。また,X線CT画像から反射界面数は,透過率から導かれる界面数と一致した。これらの結果は,可視光長波長域における木材の透過率が,木材の密度に依存するのではなく,層内における散乱の程度が重要であることを示す。同じように,木材の見た目における濃淡,すなわち,木材の光の反射強度は,特に長波長域において,どの程度透過せずに反射したかも重要と考えられる。(著者抄録)