文献
J-GLOBAL ID:201802236797123151   整理番号:18A2057366

重力逆二乗則の実験検証

Test of Graviational Inverse Square Law
著者 (1件):
資料名:
巻: 73  号: 11  ページ: 762-770  発行年: 2018年11月05日 
JST資料番号: F0221A  ISSN: 0029-0181  CODEN: NBGSA  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 解説  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
万有引力の法則は近代科学の出発点に位置する物理学の金字塔であり,一般相対論による修正が必要となる極端な状況を除いて,現在でも観測と一致し続ける有効理論である。一方,重力の逆二乗則が高精度で検証されているのは惑星スケールであり,太陽系の外側あるいは近距離での検証状況は貧弱である。例えば地球と月の距離では検証精度は10-10にも達するが,センチメートル距離では10-4に悪化し,さらに10μmでは精度が100%をはるかに超える。つまり重力の存在自身が未確認となる。誰も重力現象を10μm以下の世界で観測したことがないのである。一方プランク長はLp1=√-A:A=(h/2π)G/c3~1.6×10-35mであり,万有引力定数Gを用いてこのとてつもなく小さな距離を算出している。これは,この距離まで万有引力定数が一定であること,すなわち逆二乗則が成立し続けることを仮定したもので,実験で確認されている領域からの実に30桁以上にものぼる大胆な外挿の結果であることには注意が必要である。逆に,逆二乗則が実験で確認されていないmmからμmスケールより短距離で変更を受けると考えることは理論的に自由である。簡単なのは質量をもった新しい粒子交換力を考えることで,コンプトン波長を到達距離にもつ湯川型となる。最も有名な例が1998年のアルカニハメドらによる「大きな余剰次元模型」であり,mmスケールまで拡がった4次元以上の空間次元(余剰次元)の存在により実験未検証の近距離で,べき乗則そのものがガウスの法則により変更を受けるというものである。4つの力のうち重力だけが極端に「弱い」謎を,本来は素粒子スケールでは同程度の強さだったものが余剰次元方向への薄まりによりmmスケール以降では現在観測されている「弱さ」になる,と自然に理解できる魅力的なアイディアである。その象徴的な予言は「0.1mm程度で逆4乗に切り替わる」というもので,実験ですぐ手が届きそうな領域に大発見が待ち受けているかも知れず,工夫を凝らした実験が多く行われることとなった。筆者もその一人であり,加速器実験の検出器位置較正技術を応用した実験を進めてきた。筆者らの実験室実験では直接,小物体間にはたらく重力の強さを検証する。この予言の面白い点は,重力の強まりにより加速器実験でも探索が可能という点である。実際,衝突型加速器であるLHCにおいても検証が行われてきた。予言から既に20年が経過し,結果として0.1mmでの破れは実験で否定された。だが,まだまだ10μm以下では可能性は残されている。重力の逆二乗則は以前より検証のブームが繰り返し訪れ,精度が向上してきた。それらの経緯を踏まえて,実験検証は湯川型のパラメターで語られる。しかし大きな余剰次元模型はべき乗型であるから,直接の比較が難しい。どの実験が最も感度をもつのかがわかりにくい。とりわけLHCでの重力現象の探索も定性的には感度をもつが,実験室実験との関係が湯川型では定量的には不明瞭である。実験室実験とLHCの結果を同じパラメター空間で比較することで,べき乗型の模型に対してはLHCとmmスケールの実験の両者が拮抗し,他の領域に比べて最も強い感度をもつことが明らかとなった。余剰次元が2次元の場合,ねじれ秤による実験室実験の与える23μmが最も強い,余剰次元空間の大きさの上限となっている。(著者抄録)
シソーラス用語:
シソーラス用語/準シソーラス用語
文献のテーマを表すキーワードです。
部分表示の続きはJDreamⅢ(有料)でご覧いただけます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。

準シソーラス用語:
シソーラス用語/準シソーラス用語
文献のテーマを表すキーワードです。
部分表示の続きはJDreamⅢ(有料)でご覧いただけます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。

分類 (1件):
分類
JSTが定めた文献の分類名称とコードです
重力理論の実験的試験及び観測 
引用文献 (12件):
もっと見る
タイトルに関連する用語 (3件):
タイトルに関連する用語
J-GLOBALで独自に切り出した文献タイトルの用語をもとにしたキーワードです

前のページに戻る