抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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健聴者,聴覚障碍者ごとの文字サイズによるウェブの読みやすさの変化と両者の比較を実験により求めた。実験では文字サイズを要因として8pxから41pxの範囲の刺激を用意した。文字サイズ以外は,行送りは1.5倍,文字間隔は0.1emとし,内容としては自作の文庫サイト「あおいそら文庫」を使用した。被験者に与えた課題は,2500~3000字程度の文章を一通り読み,文章を見ながら読解問題に回答するというものであった。課題正答率,課題達成時間(本文を読み終えるまでの時間と問題に回答する時間),SD法による印象評価,読みやすさの評価を測定した。その結果,健聴者・聴覚障碍者ともに,文字サイズの最適値は27px(視角0.70°)であった。これはブラウザのデフォルト値である16pxより大きい。最適値における読みやすさの値は両者(健聴者と聴覚障碍者)でほぼ同じであった。最適値から上下に離れたときの読みやすさの劣化において,両者の間に有意な差はみられなかった。聴覚障碍者は,文字サイズが大きくなるにつれて読み終える時間が早くなり,因子1(読みの効率)が上がり続け,問題に回答する時間は小さい文字サイズと大きい文字サイズにおいて比較的長い時間を要した。これらの実験結果から聴覚障碍者は,文字サイズが大きいほど文章を読むのが早くなるということがわかった。これは,先行研究で明らかとされた,聴覚障碍者は健聴者と比較してテキスト情報を理解するレベルが浅く,戦略的な視線運動が苦手であるという認知特性に繋がっている可能性がある。(著者抄録)