抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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「港湾の施設の技術上の基準・同解説(平成19年)」(以下,現行基準という)では,修正フェレニウス法を用いた港湾構造物の円弧すべり照査について,レベル1信頼性設計法(部分係数法)が導入され,期待総費用が最小となる目標破壊確率に基づき,構造形式ごとの部分係数が設定されている。しかし,この部分係数によって設定される断面諸元と旧基準類で用いられてきた安全率法によって設定される断面諸元との間における差異については,これまで詳細な検討がなされていない。本研究では,円弧すべり照査について,現行基準の部分係数法と旧基準類の安全率法を用いて,それぞれの方法でケーソン式岸壁およびケーソン式混成堤の安全性照査を満足する最小の断面を多数作成し,必要とする断面諸元を比較した。また,部分係数法で決定した断面に対して安全率法を用いて安全率を求めなおし,現行基準および旧基準類の有する安全性の水準を,安全率を指標として比較した。結果として,部分係数法により設定される断面の安全率は,ケーソン式岸壁の場合,1.11~1.31程度(平均1.23程度),ケーソン式混成堤の場合0.98~1.27程度(平均1.15程度)の幅広い値を有していることがわかった。これは現行基準の部分係数法に基づき耐力作用比が最小となるように断面諸元を決定した場合,従来の安全率法の適用実績に照らすと危険な断面(計測施工等を実施する場合(1.1以上1.3未満)の下限値近く,あるいは下限値未満)を許容する可能性があることを示している。また本検討の結果は,次期基準改訂における円弧すべり照査の部分係数の見直しに対する基礎資料として活用されるべく,速報として提示するものである。(著者抄録)