抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,2004年紀伊半島沖地震に続く余効変形を理解するために有限要素法を用いた三次元粘弾性モデルを開発した。粘弾性緩和は表面変形に対してどのくらい長く持続するか,および,粘弾性緩和はどのくらい強く地表変形に影響するかという疑問が特に重要である。筆者らはまず,2016年末までの長寿命余効変形を検出した。長寿命余効変形は主破壊による粘弾性緩和により説明される。粘弾性モデルは,三つの粘弾性媒質-マントルウェッジ,海洋性アセノスフェアおよびリソスフェア・アセノスフェア境界(LAB)-から構成されている。三つの粘弾性媒質に対する最適粘度は,2×10
18Pa・sのマントルウェッジ,1×10
19Pa・sの海洋性アセノスフェア,および5×10
18Pa・sのLABである。粘弾性緩和は中部地方全体にわたって南向き運動を生成し,少なくとも数十年にわたって持続している。粘弾性緩和により予測された最大水平変位は,志摩半島の先端で10年以上にわたって6.2cmの累積値に達した。粘弾性モデルは,2016年末までの主破壊後に観測された南向き運動の大部分を説明した。中部地方で観測された地殻変動が2004年紀伊半島沖地震に起因する粘弾性緩和の影響を含むことは明らかである。したがって,この地域の地殻変形を解釈するとき,これらの影響を考慮すべきである。そうしなければ,プレート間カップリングまたはプレート境界断層滑りなどを過大評価または過小評価することとなる。(翻訳著者抄録)