抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
本文では,アレイプローブによる開口合成法の総称としてFMC/TFM(Full Matrix Capture and Total Focusing Method)という呼称を用いる。TFMと呼ばれる再構成画像生成のためのアルゴリズムは遅延和法である。これはフェーズドアレイ機器による送受信エコーの遅延制御で試料中の各点に正確なフォーカスを合わせることと等価である。本稿ではFMC/TFMの概要と特徴,そして適用事例について紹介する。FMC/TFMはフェーズドアレイと同じくアレイプローブを用いた超音波画像化技術であるが,フェーズドアレイとは異なり,超音波の受信にのみ位相整合を利用している。FMC/TFMは到来時間差を厳密に計測し,再構成画像生成のための位相整合を行うことで精密な超音波画像を得る方法である。フェーズドアレイでは供試体の深い位置できず指示が広がって表示されているが,FMC/TFMでは深い位置においてもきず指示が明瞭に表示されている。このことよりFMC/TFMは方位分解能の向上に有効であることが確認できる。フェーズドアレイ技術は送受信に位相整合を利用することで詳細な探傷画像を得る。一方,FMC/TFMは送信エコーに対する位相整合技術を用いずに,受信エコーに対する位相整合を行うことで精密な画像構成を行うことができる。アレイプローブによるFMC/TFMは,フェーズドアレイに比較して方位分解能及びコントラストノイズ比に優れた超音波画像化技術であり,探傷試験後であってもポスト処理による材料音速及び画像解像度の変更を行うことができる特徴がある。