抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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円形鋼管を柱梁骨組に最密充填した耐力壁は,耐震改修要素として優れた特性を持っている。本論文の目的は,良好な収束を伴う大変形領域を解析できる簡単なモデルを提示することである。この壁の地震力に抵抗する機構の1つは管の面外曲げ変形機構であり,その最大強度を評価するために降伏線理論がしばしば適用される。回転対称性を考慮して,円管の上半分をモデル化した(図2)。ヒンジモーメント
hMを有する降伏線20,40,80,100,140,および160を,角度ηによって,剛体線0,60,120,および180から分離した位置に提供した。要素10,30,50,70,90,110,130,150,および170は剛体であり,そして,要素の長さは不変である。壁の頂部での変位wδに対応する水平変位をノード60と120に与え,ノード20,40,80,100,140,および160のヒンジ回転角増分の絶対値の和を最小化するための条件を与えて,収束計算を行って要素10,50,および110の回転角を得た。回転対称性のため,要素170の回転角は要素10の回転角に等しい。
hMを乗算した壁における円形鋼管のヒンジ回転角増分の合計は,壁の内部仕事の増分である。内部仕事の増分は外部仕事の増分と等しいと設定し,wδ増分によって除したものが壁剪断力である。外力を除荷すると残留変形が発生するが,降伏線は剛塑性回転ばねを持つため,残留変形は除荷前と同じである。これは鉛直変位自由モデル(以下,自由モデルと呼称)と呼ばれる。側柱の軸方向変位は側柱によって制限され,剛体のヒンジ回転変形と降伏線理論によって与えられる降伏線は,側柱の軸方向変位の拘束状態を評価できない。本論文で構成した側柱の軸方向変位拘束モデル(以下,拘束モデルと呼称)は,要素30と150に新しい円周方向線形スライダーを導入した。このスライダーは,スライダー抵抗
sRによる伸び変位を許可する単一方向性を付与されているが,収縮変位を許容しない。降伏線位置を定義する未知のηの値は0.305とほぼ一定であり,要素50と110の回転角はほとんど発生しない。これは収束を好ましいものにすると推定される。自由モデルの外力を除荷した時点の,ノード20,30,140,および160の座標から得られた円周方向変位における
sRを乗算した内部仕事の増分は,自由モデルと拘束モデルの間の差異であると推定した。有効性を検証するために行った実験によって保証された提示したモデルの適用範囲は,鋼管の径厚比が55以下で,降伏比が0.83以下(Round-House typeに限定)で,溶接長さ比が0.53以上で,壁厚比が0.13以上で,アスペクト比が0.48以下で,部材角度は9/1000以上,90/1000以下である。実験結果は,提示したモデルを用いて計算した値が実験値に良く一致することを明らかにした。(翻訳著者抄録)