抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿は,食料不足が発生したとされる2016年熊本地震の自治体による食料供給状況を明らかにし,課題抽出することにより新たな対策の知見となることを目指すものである。2016年4月の熊本地震は最大震度7の前震と本震の連続発生により被害が拡大した。このとき,14日前震後の避難者に対する食料は,公助となる現物で備蓄された食料(現物備蓄)と流通在庫による備蓄食料(流通備蓄)で持ちこたえたが,16日の本震被害で食料不足が生じた。本震後,熊本県管理の現物備蓄食料は底をつき,流通備蓄食料はほぼ1日機能しなかった。これらにより政府はプッシュ型支援を実施し,各避難地域へ食料等を直接搬送することとなる。その他支援もあり,18日には各地へ集積され,21日には概ね食料不足が解消された。この検証により,熊本県及び熊本市の備蓄食料及び災害時物流状況による食料不足の実態と解消に向けた過程,また,最低3日分必要とされる現物備蓄食料の有効性,そして,流通備蓄食料の脆弱性について確認立証することができた。また,新たな取組として,東日本大震災以降開始された政府の精米(無洗米)による備蓄米が初めて供出され,その運用を確認した。今後の課題は,自助・共助・公助の相互補完に基づき役割分担を明確にし,特に個人の防災意識を高め,あらゆる支援等の可能性を加味した地域防災計画等の早期見直しをする必要性が強調された。(著者抄録)