抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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岐阜県の河川砂防管理区間に設置された魚道(672箇所)では,フィッシュウェイサポーター制度による魚道カルテの定期点検,また,河川・農業水路・水田の集水域では,多様な生物が遡上・降下可能な「水みち」の連続性の展開(調査地点948)が進められている。本研究は,これらのデータ分析(2012~2017年)により,魚道の機能低下の要因の抽出,維持管理方法を検討し,農業水路では,落差によるネットワーク分断化の解消の効果を,水田の総面積(受益面積)と魚種等の関係などから評価した。本研究により明らかにされた成果は以下のようである。主成分分析により,魚道の破損,澪筋,土砂・流木等の堆積,河床洗掘等が魚道の機能低下の支配要因である。また,クラスター分析により,C評価が約60%を占める流域の魚道グループは,複合要因による機能低下が関与している。土砂流入や流木等による魚道機能回復については,継続的な維持管理の重要性,簡易補修,魚道出口の土砂流入防止策などの必要性が指摘された。さらに,落差工による河川と農業水路との生態系ネットワークの分断が魚類群集の種多様性の減少に与える影響は,受益面積が大きいほど顕在化する傾向にあり,落差を解消すれば規模が大きな農業水路ほど多くの魚種が回復する。(著者抄録)