抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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原発事故被災からの回復は,元に戻ることではなく日常性を取り戻すことである。被災者は,本人が主体となって,安全の確立,想起と服喪追悼の段階を経て,通常生活との再結合に至る過程をたどる。また被災地は,被災者が土地とのつながりを再構築することによって再生していく。そのための政策は,事故発生時の緊急・応急対策とは異なる。ところが,現在の原発事故被災対策は,a)緊急対応策をそのまま延長して恒久的な措置としていること,b)被災地の再生を単純な経済的復興として推進していること,c)目標を定めその効率的な達成を図る手法を偏重していること,という特徴があり,被災からの回復との齟齬を生じている。これを,内発的な回復過程に対する支援へと転換しなければならない。この場合に,原因者に負担を求めるだけでなく,良好な福祉や健全な環境に対する公共的な責任をも重視すべきである。その必要に応えるべく次のしくみを提案する。1)支援の日常化を図るために,被災者支援を公共福祉政策として展開する。2)被災地主体の回復を支援するため,コミュニティ再生基金を造成する。3)生態系回復プロジェクトを実施し,被災地再生に当たってエコノミーとエコロジーのバランスを確保する。4)被災から回復するうえでの課題に適切に応えるために,被災地再生のための費用負担関係を再編する。(著者抄録)