抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本では,国産木材は,柱と土台に対して約50%使用されているが,梁または根太に対してはわずか9%しか使用されていない。国産木材の代表的な種であるスギのMOEは,輸入木材よりも低い(日本スギのMOEは5~8GPaである)。床梁の断面寸法は実際の設計において,たいてい曲げたわみに応じて決定されている。国産木材の梁への使用は,木材の使用量を増加させ,建設費増大の結果となるので,使用されない(または生産されない)ものと考えられる。このコスト問題が解決されれば,国産木材の梁への需要が増加する可能性がある。著者らは,断面の高効率化を考え,日本の在来構造に適したI形梁を開発することを目的とした。開発の目標は,床梁に対する木材使用量の50%を節約することである。主要な材料を選択するにあたり,ウェブにはいくつかの選択肢があった。接合方法と他の要因を考慮し,予備試験でせん断特性をチェックすることにより決定した。梁の構造試験,耐久性試験および長期性能試験を,I形梁の開発手順に含め,最後に,I形梁の設計方法を提案した。米国とカナダにおけるI形梁製品には,しばしば,ウエブにOSBが使われている。何故なら,OSBは優れたせん断特性を有し,コストも安いからである。しかし,日本では国内樹種から作られたOSBはなく,OSB工場もない。最後に,合板と斜め格子パネル(DLP)をウェブのオプション材とした。DLPは,151mmの格子間隔で配置された傾斜角45度のラミナの2層からなる斜め格子パネル(厚さ:18mm)である。ラミナの断面サイズは幅55mm,厚さ9mmで,API接着剤を用い互いに接着されている。合板とDLPから適切な材料を見出すために,Two Rail Shear試験を行った。その結果,DLPは優れた剪断特性を持つことがわかった。DLPに対するせん断剛性係数は,木材のそれの約2.2倍であり,OSBの0.85倍であった。せん断強度についてのOSBとの比較では,OSBの平均せん断強度は8.44MPaであり,DLPの2倍である。しかし,単独パネルとして単純比較すると,DLP(厚さ18mm)は,OSB(厚さ9.5mm)の2倍厚さを持ち,せん断能力はほぼ同じであるが,せん断剛性はOSBの1.6倍である。これらの2つは,ほとんど同じ木材量である。DLPには,水道管やケーブルダクトのようなパイプを容易に通すことが出来る長所がある。これらの利点から,I形梁ウェブに対してDLPを使用することを決定した。設計されたI形梁は,日本のカラマツを用いたLVLフランジとDLPのウェブから成っている。フランジとウェブは,2列の嵌合接合法を用い,レゾルシノール接着剤により接合した。いくつかの種類の異なる荷重下での曲げとせん断試験を含む梁試験を実施した。これらの試験結果から,設計強度と剛性を決定した。試験において観察されたせん断強度の低下はせん断帯長さに依存し,せん断における長さの影響が見られた。長さ効果が最弱リンク理論によって説明できるかどうかを調べるために,得られたせん断試験データを用いたワイブル分布によって与えられる強度の累積分布関数から,別の試験値を予測することを試みた。実験強度と予測強度の間の乖離は非常に大きく,最弱リンク理論の他に長さ効果に影響を及ぼす何かがあるに違いない。断面の有効二次モーメント,断面の有効係数,断面のせん断応力係数を,等価均一断面法によって計算した。設計のための構造特性値と梁設計法を提案した。(翻訳著者抄録)