抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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木質バイオマス発電所から産出される燃焼灰(以下,燃焼灰と略す)は,そのほとんどが産業廃棄物として処理されているが,燃焼灰はCaやK等の肥料元素を含有しているため土壌資材として有効利用できる可能性がある。本研究では,燃焼灰のコンテナ苗育苗培地としての利用可能性を探るため,燃焼灰の混合率(体積比)を変えた培地(0%(対照)区,5%区,10%区,25%区)でスギとヒノキを8-9カ月間育成し,苗木の成長と養分状態を調べた。スギ,ヒノキとも燃焼灰の混合が個体の成長を促進することはなかった。燃焼灰の混合率が成長に及ぼす影響は樹種によって異なり,スギでは25%区,ヒノキでは10%区と25%区で,苗高,直径,乾重の成長が対照区に比べ著しく抑制された。掘り取り時の交換性Mg,Na含有量は燃焼灰の混合率が高い培地ほど低かった。燃焼灰の混合率が高い処理区ほどスギ葉のCa含有量は高くなったが,スギ,ヒノキ葉のMg,K含有量やヒノキ葉のCa含有量に有意な処理間差はみられなかった。以上の結果から,培地への燃焼灰混合によるスギ,ヒノキ苗の成長促進効果はみられないこと,苗の成長を大きく損なうことなくコンテナ苗培地資材として培地に燃焼灰を混合できる割合の上限値は,スギでは10%,ヒノキでは5%であることが明らかとなった。今後は燃焼灰を培地に混合したコンテナ苗を林地に植栽した後の健全性に関する研究が必要である。(著者抄録)