抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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母樹保残法によるコナラ天然下種更新試験地において,伐採21年後の林分構成を調べた。試験地に存在する胸高直径1cm以上の木本類の胸高直径と樹高構成,位置を測定した。測定したデータは,フリーGISソフト(QGIS)によって,国土地理院の平面直角座標系(10系)でまとめた。試験地の伐採は1996年4月に0.6haの面積でおこなった。試験区は,伐採後小型掘削機で土壌表面を剥ぎ取ったPlot A,草刈り機で丁寧に刈払ったPlot Bを設定し,その後,母樹から種子が落下した。1996年秋の種子落下量は,試験地から500m離れた場所の同様なコナラ二次林で200個/m
2の種子落下が記録されていた。2017年時点で,コナラ更新木は母樹の周辺に集中する傾向が見られ,Plot Aでは219本/ha,Plot Bでは195本/haが生育していた。平均胸高直径はPlot Aでは2.5cm,Plot Bでは4.8cmであった。平均樹高はPlot Aでは4.2m,Plot Bでは6.6mであった。試験地で確認された全樹種数は49種類であり,Plot Aでは35種類,Plot Bでは47種類であった。全樹種の生育本数はPlot Aでは3158本/ha,Plot Bでは4835本/haであった。胸高断面積合計はPlot Aでは17m
2/ha,Plot Bでは32m
2/haであった。樹種の中には,広範囲に分布するものや集中して分布するものがあった。例えば,ホオノキ,ミズキ,キタコブシ,ハクウンボク,ウワミズザクラが広範囲に分布した一方,クリ,コナラは集中して分布していた。母樹保残法によるコナラの天然下種更新は,1)更新面に約200個/m
2以上の種子落下があること,2)丁寧な地床処理によって発生実生数を増加させることで可能と考えた。今回のデータが長期的な森林更新に関するデータ蓄積に有用であることが期待される。(著者抄録)