抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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大気中に放出された放射性核種は作物植物の葉表面に蓄積し,植物によって取り込まれ,葉から他の部分に移行する。葉に蓄積した放射性核種の一部はウェザリング,すなわち雨,風などによる除去,と呼ばれる環境プロセスによって表面から除去される。六ヶ所村における核燃料再処理施設の安全性評価のための重要な放射性核種である
129Iに対するこれら過程を記述するパラメータである,作物における放射性核種の線量評価にかかわる重要な過程で,葉取り込みと転流である,ウェザリングは明らかにされていない。草は,六ヶ所村における重要な産業の1つである畜産のために栽培されているので,イネ科植物の表面におけるヨウ素(I)の挙動を測定する研究プロジェクトが,2011年に立ち上げられた。FY2015において,以下の主題を研究した。1)葉表面への無機蒸気(I
2)として施用されたIの葉面取り込みと揮発に及ぼす草の成長段階の影響,2)霧と風の同時曝露によるI
2,乾燥エーロゾルまたは溶液として葉表面へ蓄積したIのウェザリング。播種後39日または49日目にカモガヤ(Dactylis glomerata L.var. Akimori II)をI
2蒸気に曝露した後,植物を人工気候室で7日間栽培した。植物の葉を定期的に収集し,葉表面を界面活性剤を含む溶液で洗浄した。葉及び表面を洗浄することにより得られた溶液試料を分析することにより,Iの葉面取り込みを測定した。植物から揮発したIを活性炭紙フィルタで収集した。I
2への曝露直後に,植物中のIの98%以上が葉に見られ,葉のIは揮発性Iの増加とともに徐々に減少した。Iの挙動は,植物の2つの成長段階でほとんど同じであった。カモガヤの葉表面に,1)I
2蒸気,2)NaIまたはNaIO
3を含む液滴,または3)NaIまたはNaI
3を含む乾燥エーロゾル,を適用後,植物を同時に霧と風に曝露した。曝露は,いくつかの大気液体水含有の霧および異なる風速の風との組合せで行った。曝露した植物の葉を収集し,最初の研究と同じ方法で処理した。液体液滴または乾燥エーロゾルとして適用されたIに対して,47mgm
-3の液体水含有量を有する霧中2時間での葉におけるI保持は,風速とともに指数関数的に減少した。I
2として適用されたIは,風のない同じ霧条件下での除去を示さない以前の結果とは対照的に,24時間,2ms
-1の霧と風への曝露によって植物から除去された。以前の研究における降雨による液体液滴中のヨウ素酸塩として適用されたIのウェザリングを要約するために,Iのコンパートメントモデルを,葉取り込み,揮発およびウェザリングを記述するために構築し,典型的なウェザリング半減期を得た。放射性核種の単位量は,所定の日の正午に葉表面に蓄積すると仮定し,次に,放射性核種の挙動を,その日から60日の間,モデルと実際の気象条件でシミュレートした。半減期は,指数関数的減少を仮定して,植物および葉表面上の残留割合から計算した。半減期は2014年5月から10月まで,2015年5月から10月まで日毎に得られた。液体液滴のヨウ素酸塩に対して得られた250半減期の中央値は38日であった。本研究の半減期は,再処理施設の安全性レビューに使用されるウェザリング半減期(14日)より長かった。(翻訳著者抄録)