抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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シクロプロパン類は,それらの合成的有用性と自然界におけるそれらの広範な発生のために,有機化合物の重要なクラスを表す。加えて,考えられうる最小の[C
3]環化合物としてのシクロプロパン類の剛直な立体配座は立体制御合成において利用できる。特にドナー-アクセプタ(D-A)シクロプロパン類は最近の合成開発によりかなりの注目を集めている。本論文では,エナンチオ富化ドナー-アクセプタシクロプロパン類の開環環化,ホモ-Nazarov環化,オキシ-ホモ-Michael反応,1,5-付加および還元的開環反応について述べた。さらに,これらの一対の反応をキーステップとして用いた生物活性リグナンの一対の不斉全合成を行った。すなわち,重要な段階として二環式ドナー-アクセプタシクロプロパン類へのアルコールの高立体選択的Cu(OTf)
2-触媒オキシ-ホモ-Michael(OHM)付加を用いて,ツピキリグナンAの不斉全合成を達成した。さらに,アルコールの代わりにGrignard試薬のCu触媒によるエナンチオ富化ドナー-アクセプタシクロプロパン類への1,5-付加は,高い位置および立体選択性で進行した。さらに,D-Aシクロプロパン類の水素化分解(還元的開環)とそのヤテイン全合成への応用について報告した。分子間反応のほかに,D-Aシクロプロパン類の開環環化とホモ-Nazarov環化の反応機構を検証した。機構的観点に基づいて,i)S
N2経路によるエナンチオ富化D-Aシクロプロパン類への求核試薬の分子間付加,及びii)シクロプロパン開環後のS
N1経路による分子内キラル移動Friedel-Craftsアルキル化,を利用した高立体選択的合成法について述べた。(翻訳著者抄録)