抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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わが国の近世以降に実施された社会基盤整備は,現代へ繋がる萌芽であったとされる。しかし,江戸幕府下に先の整備がどのように実施されたか,一次史料から網羅的に明らかになっていないのが現状である。そこで本研究では,江戸幕府が編纂した公式記録である『徳川実紀』を用いて,江戸時代前中期に実施された道路行政政策に着目した。その結果,「道路」に関する記述は139項目あり,それらを分類したところ,流通・交通政策や維持管理等を定めた「規則の制定」に関する記述が117項目と最も多かった。一方で,「道路」の新規造成や補修等,「道路施工」に関するものは18項目と非常に少ない状況であった。研究対象とした時代は,「道路」の維持管理等は行われたものの,幕府直轄による道路造成は積極的に行われていなかった。このようなことから,幕藩体制を維持するために江戸へ攻め込まれることを防ぐ必要もあり,江戸幕府が交通の便を良くする土木工事を抑えていたと推察される状況にあったことを示した。(著者抄録)