抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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建築プロジェクトは多くの意思決定を必要とし,顧客はプロジェクトにおいて建築家,監督者,建設業者および他のコンサルタントと協力して決定する。特に日本では,プロジェクトメンバーの相互信頼性が高く,日本の建設業者の能力が優れているので,顧客は建設段階で決定を行うことが多い。しかし,日本における法律は,建設段階における顧客の意思決定を明確に定義しておらず,しばしば,いくつかのリスク(例えば,設計変更,プロジェクトの遅れ,および高コスト)を作っている。本論文は,日本の建設段階における顧客の意思決定の要因と影響を明らかにすることを目的とした。日本における建設プロジェクトに関する3つの主な法律は,建築基準法,建築士法,建設業法である。さらに,日本では建設工事の標準仕様と契約の標準形式がある。これらの3つの法律といくつかの標準は,次の通りに顧客の意思決定を定義する。[1]建設段階において図面におけるいくつかの誤りを見つけた場合は,顧客は建築家にそれを正させることができる。[2]プロジェクトメンバーとの合意により,顧客は建設段階において図面を変更させることができる。[3]設計変更が構造に影響を及ぼすならば,顧客は構造計算を実行し,建築確認の適用を得る必要がある。[4]色,材料,装置などが建設段階において合理的である場合には,顧客は図面で明らかにすることにより,建設段階においてそれらを選択することができる。したがって,著者らは,鉄筋工事,鋼工事,外装工事,および設備工事に含まれる顧客の意思決定の現状に関するアンケートを行った。アンケートはオープンエンド質問法であり,以下の3つの質問から構成された。[1]どの種類の顧客の意思決定があるのか?[2]意思決定にはどのような因子があるか?{3}意思決定の影響には何があるか?サンプルは建設プロジェクトの人々に限定され,回答者は顧客,開発者,建築家,および建設業者に属していた。合計78のアンケートを電子メールによって配布し,14のサンプルを収集した。調査の結果は,4種の工事における顧客の挙動の差異を明らかにした。鉄筋工事と鋼工事において,顧客は直接鉄筋の数と鋼材の特性を決定して指示しない。しかし,顧客はこれらの工事に間接的に影響する。設計段階において,時々,顧客は,それらが傾向に従うことを望んでおり,入居者を決めていないので,空間の特定利用法を決定しない。この場合,顧客は建設段階においてこれらの事項を決定し,鉄筋工事および鋼工事における間仕切りおよび配管スリーブの位置を変更させた。外装工事において,設計が良いかどうかについては,顧客が図面だけから判断できないので,建設段階において外部の色と材料を決定することは合理的である。建設業者は,顧客が設計をチェックするためのモックアップを作成し,顧客が設計の詳細を直接決定または変更する。設備工事においては,顧客は2つの方法でそれに影響を及ぼす。建設段階においてそれを決定することが合理的である場合には,顧客は直接装置の位置,数,および性能を決定する。一方,顧客が建設段階において空間使用を決定する場合には,部屋の使用法とサイズが必要な位置,装置の数と性能を決定する。最後に,顧客の意思決定の因子を分析するために,著者らは魚骨図解析を適用した。魚骨図は,問題の根本原因を同定するためのツールであり,本論文における問題は「建設段階における顧客の意思決定」であった。この図は,3つの主な原因(プロジェクトメンバー,建物タイプ,建物要素)と42の二次原因を持っている。さらに,建設段階における顧客の意思決定が4種の工事の後処理にどのように影響するかをモデル化した。(翻訳著者抄録)
