温度・塩分をはじめとするトレーサー分布についての観測データは近年飛躍的に増加しており,全球をカバーした良質なデータセットが利用可能である。先行研究では,観測データから得られるトレーサー分布の情報から海洋の流速場を逆推定する試みもなされてきている(Wunsch,1996など)。流速場と合わせて,鉛直拡散係数分布についても逆推定した試みもあるが(Ganachaud and Wunsch,2000),その3次元分布について詳細に議論した研究は少ないと思われる。本発表では,温度,塩分,炭素同位体分布(ΔC14)の3つのトレーサー分布を用いて,鉛直拡散係数の3次元分布をどの程度逆推定することができるか,その試みについて紹介する。(著者抄録)