抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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本論文は,著者らの以前の結果に焦点を合わせて,画像表示装置におけるプラスチック基板に適用できる新しい高温高分子材料の開発をレビューした。本論文では,熱膨張(CTE)の超低線形係数を有する新しい溶液処理可能な無色ポリイミド(PI)を提案した。最初に,PI膜の着色の原理を,膜着色に及ぼす処理条件の影響,および結果としてのPI膜の低CTE特性を支配する化学的および物理的因子を含めて簡単に考察し,非常に高いTg,非常に低いCTE,および優れた膜靱性を同時に達成するための課題を明らかにした。これらの目標特性を達成する可能なアプローチは,線形鎖構造から成る半環状脂肪族PI系を用いることである。しかしながら,シクロ脂肪族ジアミンを用いて得られた半環状脂肪族PIは,前駆体重合,シクロ脱水(イミド化),およびフィルム調製の間に様々な問題を被る。特に,シクロ脂肪族ジアミンとしてtrans-1,4-シクロヘキサンジアミン(t-CHDA)を用いると,前駆体重合の初期段階における塩形成が起こり,それがいくつかの場合に重合を停止させるか,または反応期間を著しく延長させる。3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)及びt-CHDAから誘導した系は制御加熱法により重合し,比較的良好な特性,すなわち400nmで優れた光透過率(T400=~80%),高Tg(>300°C)及び非常に低いCTE(10ppm K-1)をもたらした。しかし,このPI膜はいくらか脆性(破断時最大伸び,εbmaxは約10%)である。一方,環状脂肪族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの組合せは塩形成をもたらさなかった。環状脂肪族テトラカルボン酸二無水物の立体構造は,芳香族ジアミンによる重合性と得られたPI膜のCTE値に著しく影響した。水素化ピロメリット酸二無水物の三つの異性体について,PI膜の重合性と性質に及ぼす立体構造効果を考察した。1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)は,CTEを減少させるのに適した非常に珍しい脂環式テトラカルボン酸二無水物である。例えば,CBDAと2,2′-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)から誘導されたPIシステムは比較的低いCTE(21ppm K-1)を有する無色PI膜をもたらす。しかし,このPIは一般的な有機溶媒に不溶性で,溶液処理ができず,化学的イミド化プロセスに適合しないことを意味する。さらに,膜はいくらか脆い(εb<10%)。さらに,膜特性に及ぼす膜調製経路の影響が顕著であることを示した。化学的イミド化により調製された膜は,通常の二段階プロセス(すなわち,前駆体キャスティングと連続熱イミド化)により調製されたものより,常に高い光学的透明度と低いCTE値を有する。これらの結果は,化学的イミド化プロセスとの適合性が著者らの目標を達成するための鍵であることを示唆している。CBDA系PI系における溶解度を劇的に改善するために,TFMBと4,4′-ジアミノアニリド(DABA)の構造的特徴を有する新規アミド含有芳香族ジアミン(AB-TFMB)を提案した。CBDA(70);6FDA(30)/AB-TFMB共重合体は,非常に高いTg(329°C),十分な延性(εbmax>30%),および良好な溶液加工性を有し,超低CTE(7.3ppm K-1),優れた光学透明度(T400=80.6%,黄色度指数(YI)=2.5,およびヘイズ=1.5%)を有した。したがって,この共重合体は新しい被覆型プラスチック基板材料としての使用のための有望な候補である。また,本論文では,目的特性が,シクロ脂肪族単量体の助けなしでどのように達成できるかについて議論した。このように,精巧な分子設計により,高透明で低CTEの芳香族ポリ(アミドイミド)とポリ(エステルイミド)系の調製が可能になった。Copyright 2018 The Author(s). All rights reserved. Translated from English into Japanese by JST.【JST・京大機械翻訳】
