抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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口永良部島2006~2014年のGPS観測データを解析した。新岳周辺の大部分のベンチマークは火口を中心とした放射状の水平変位を示した。新岳西側の水平変位の方が東に比べて大きい傾向が認められた。更に,古岳の崖近くのKUC14は火口からの放射状の南方向ではなく西方向への変位を示した。その一方,口永良部島山麓での変位は小さかった。有限要素法を用い観測変位をモデル化した。100×100×50kmの領域を設定し上部は自由面その他は固定境界面とした。口永良部島の島内の地形は鹿児島県とグーグルアースからの標高値を用い,島外の標高は海水面とした。1次元P波速度構造に基づき,成層構造を仮定した。回転楕円体の力源モデルを適用し,フォワードモデリング法により,力源の水平位置,深さ,赤道半径,極半径及び圧力変化の最適値を求めた。新岳火口直下の海抜400mに半径50mの球状力源が求められた。内部圧が361MPa増加し,体積が31,400m3増加した。地形及び地盤の不均質性を考慮すれば,口永良部島の変動はこの力源で再現される。力源の位置は,浅い火山-構造性地震の震源及びAMT法により得られた2次元比抵抗モデルから推定される帯水層の位置と一致する。得られた力源は加圧された帯水層に相当すると思われる。浅い火山-構造性地震と消磁は帯水層周辺の岩石への圧力と応力集中により生じたのであろう。得られた球状力源を2014年8月3日の噴火前の傾斜変化に適用すると,噴火の1時間半前に520m
3の火山性物質が浅部へ供給されたことが分かった。精密水準測量から検出された2015年5月噴火の前の力源の深度と体積変化は,2014年8月噴火の前の力源と比較するとより深く,体積変化は2桁大きい。(翻訳著者抄録)